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こわ〜い"院内感染"の実態とは 病気を治しに行ったはずの病院で、却って、重い病気をもらって帰ってくる。 そんな恐ろしいことが実際にはある。それが"院内感染"と呼ばれる恐怖である。 【"院内感染"って、どんなこと?】 "院内感染"という言葉、日本で良く聞かれるようになったのは、ここ10年 くらいのものではないだろうか?それまで、ほとんどこの言葉が聞かれなかっ たのは、実際には当然あったのだが、問題になっていなかっただけのことだ。 既に、アメリカでは、1970年頃から、重要な問題として提起され、行政 の主導によって、「"院内感染"対策」を強化した。それでも、現在、"院内感染" の患者数は、200万人に達し、死亡者数も、約9万人に上っている。 翻って、日本では、"院内感染"の行政による対策も、アメリカより、30年 以上も遅れている。もちろん、現場でも、医師や看護師など医療従事者の中で、 "院内感染"に精通している人間は、まだまだ少ない。 例を挙げると、"院内感染"予防対策として、欧米では、既に、一般的になっ ているICN(ICナース=感染症制御看護師)の配置も、日本では、ほとん どの病院で、実施されていません(アメリカでは250床に1人)。 日本では、"院内感染"による死亡者数が、約2万人と言われている。だが、 もしかして、もっと多くの犠牲者が、"院内感染"として、扱われていないだけ なのかも知れない。それはひとえに、"院内感染"の意識が低いという現れ。 それでは・・・「"院内感染"って、一体どんなことなのか?」 ─────────────────────────────────── "院内感染"=一般的に知られているのは、「病院内で、細菌やウィルスなど に、感染して、病気を引き起こすこと」という概念だと思う。 その他に、「入院患者が、元の病気とは、別に病院内で、新た な感染症を引き起こした場合」「病院で働く医療従事者が、病 院内で感染した場合」など、病院内で起こった感染症は、全て "院内感染"として、扱われます。 これ以外に、病院内で感染し、退院後に、発病した場合も"院内 感染"として、取り扱われる。 ただ、チョッと疑問に思うのが、これらの概念は分かっていて も、病院の体面上、"院内感染"として取り扱わないで、誤魔化 すケースもあるのではないだろうかと懸念される。 ─────────────────────────────────── "院内感染"の特徴 ─────────────────────────────────── 1.日和見感染…病院には、様々な患者が集まってきます。彼らは、元々、基 礎疾患を持ち、栄養状態が悪かったり、大手術の後などでは、 体力や免疫機能が低下したりしているので、感染症を起こし やすい状態になっています。 従って、健康な人では、通常、感染症を起こさないような弱 い毒や病原性を持たないような微生物によって、病気を引き 起こすこと。 2.薬剤耐性菌感染…何かの感染症に罹ると、その病原菌を殺すための薬とし て、「抗生物質」が投与される。それを、だらだらと長 期間連用すると、病原菌が突然変異を起こし、耐性を作 ります。 これを「耐性菌」といい、これによって、引き起こされ る感染のことです。最近の病院では、「抗生物質」の使 用頻度がとても高く、よって、「耐性菌」が非常に、出 来やすい環境にあると言えます。 ─────────────────────────────────── "薬剤耐性菌"の種類(代表的なもの)と主な原因菌 ─────────────────────────────────── ["薬剤耐性菌"] ●メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) 鼻腔や皮膚に常在する黄色ブドウ球菌が、メチシリンに対して、耐性を持っ たモノ(多剤耐性菌)。 ●バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA) MRSAに対して、唯一の特効薬だったバンコマイシンの多剤耐性・黄色ブ ドウ球菌(多剤耐性菌)。 ●バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) 腸内にいる菌で、病原性は弱い。しかし、発病すると有効な薬剤がない(多 剤耐性菌)。 ●カルバペネム耐性セラチア菌 MRSAやVREなどよりも、毒性が強く、症状の悪化も早いため、手遅れ になりやすい。そのため、この菌が拡がると、「抗生物質のなかった時代の 医療に逆戻りすることになる」と警告を鳴らす専門家もいる(多剤耐性菌)。 ●多剤耐性緑膿菌(MRPA) 緑膿菌自体は、水分の多い場所や腸内にいて、病原性は弱い。だが、抗生物 質や消毒薬に対しては、耐性を持つことが多い。 ●ペニシリン耐性肺炎球菌感染症(PRSP) 喉や咽頭に常在する肺炎球菌が、ペニシリンに対して、耐性を持ったモノ。 ─────────────────────────────────── [原因菌] ●レジオネラ菌 土の中で、アメーバなどに寄生していて、水たまりなどに飛び込むことによ り、繁殖。ビルなどの空調用冷却水、給湯器の湯、加湿器、循環式の浴場、 温泉などで、検出されるところも、多くなっている。 微少な水滴と一緒に、肺に吸い込むと感染。水を飲んで感染することはない。 感染すると、発熱・呼吸困難・腹痛・吐き気・下痢などの症状を呈する。 ●新型アデノウィルス 国内では、3型が最も多い。プールで感染しても、結膜炎や喉の腫れ、発熱 などを起こす「プール熱」の原因ウィルス。新型アデノウィルスと呼ばれ、 乳幼児3人の命を"院内感染"によって、奪ったのは、海外では多いが、日本 では、ほとんど報告されていなかった「7型」であった。 ●エンテロバクター・クロアーカ 腸内細菌の一種。点滴を通じて、感染し、敗血症で死亡。 ●バシラス 食中毒の原因菌。輸液の管にある「三方活栓」というバルブのキャップを繰 り返し使用したところ、点滴の管から、"バシラス"という細菌が入り、19 人が、敗血症になった。"バシラス"は、芽胞と呼ばれる冬眠状態になると、 アルコールでは、充分に、除菌出来なくなる。 ●プチダ菌 流し台や排水口などの湿った場所にいる。病原性は弱く、健康な人が感染し ても、影響がない。重い疾患や免疫力低下の人は、発熱や尿路感染症を起こ す恐れアリ。 ●真菌類(カビの仲間) 体内にいるカンジダ、環境中のアスペルギルスやクリプトコッカスがある。 HIV感染者や臓器移植を受けた患者などの免疫力が落ちた人に、肺炎や敗 血症などを起こす。 ─────────────────────────────────── "抗生物質"の主な種類 ─────────────────────────────────── 01.βラクタム系抗生物質 02.抗緑膿菌作用のない広域ペニシリン 03.抗緑膿作用のある広域ペニシリン 04.βラクタマーゼ阻害薬/ペニシリン合剤 05.第一世代セフェム系抗生物質 06.第二世代セフェム系抗生物質 07.第三世代セフェム系抗生物質 08.第四世代セフェム系抗生物質 09.カルバペネム系抗生物質 10.マクロライド系抗生物質 11.リンコマイシン系抗生物質 12.テトラサイクリン系抗生物質 13.アミノグリコシド系抗生物質 14.バンコマイシン 15.ニューキノロン系抗菌剤 16.ST合剤(TMP/SMX) 17.グラム陽性球菌に、有効な抗生物質 18.グラム陰性桿菌に、有効な抗生物質 19.嫌気性菌に、有効な抗生物質 20.好気性菌に、有効な抗生物質 ─────────────────────────────────── 『この表を見ても分かるように、非常に種類の多い"抗生物質"。 これは、一体、何を意味しているのか?』 これらを踏まえて、次号では・・・ 「"院内感染"の問題点と今後の対策を、取り上げたいと思います」 **患者側の予防法とは・・・→ http://tinyurl.com/vhfl4
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