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"地鶏"jidoriという言葉に潜むウソを探る 食肉偽装表示は、牛肉や豚肉だけではない。鶏肉にも、その疑惑はあった。 いつの頃からか、全国で食べられるようになった"地鶏"。これおかしくない? 【"地鶏"って、何なんだ!?】 チョッと考えてみた。"地鶏"という言葉が、一般に露出しだしたのは、一体 いつからなんだろう?今から30年以上前、私が、子供の頃は、一般的には聞 かれない言葉だった。 私の記憶が確かならば、"地鶏"という言葉が、一般生活に入り込んできたの は、おそらくここ10年くらいのことだろう。今では、ごく普通のスーパーに も、「○○"地鶏"」と表示された肉が、置いてある。 「そもそも、"地鶏"とは、何なんだろう?」 平成12年6月10日から施行された"地鶏肉"特定JAS規格によると… ─────────────────────────────────── 1.*在来種の血が、50%以上で、出生の証明が、出来るもの 2.孵化日から、80日以上、飼育していること 3.28日齢以降、平飼いで、飼育していること 4.28日齢以降、1平方メートル当たり10羽以下で、飼育していること ─────────────────────────────────── *在来種とは、明治時代までに、国内で成立し、または、導入され、定着した 鶏のこと。現在は、38種ある。 ─────────────────────────────────── しかし、現在(7/16)まで、この規格の認定を受けた"地鶏"は、わずか6種類 しかいない。「阿波尾鶏(徳島県)」「奥美濃古鶏(岐阜県)」「筑波地鶏(茨城県 )」「やさとしゃも(茨城県)」「宮崎ひむか地鶏(宮崎県)」「はかた地どり(福 岡県)」。 最も、一般の人に知れ渡っていると思われる"地鶏"の「名古屋コーチン」や 「比内鶏」「軍鶏(しゃも)」などは、入っていないのである。この背景には、 "特定JASの認定"が、手間も暇もかかって、面倒だという側面がある。 しかも、農水省自体が、「この規定は、特定JASマークを付けるためのも のであり、それ以外の地鶏が、"地鶏"という表示を掲げるのを縛るものではな い」と"消費者を蔑ろにした"、実に、お役所的な発言をしている。 つまり、認定外のものが、"地鶏"と表示しても、全く問題ないし、違反にも ならないというのだ。考え方が、あまりにも、消費者をバカにしてはいないか。 "地鶏"の表示が、あいまい過ぎて、消費者が誤解を招くので、これを導入した んだろうよ。 「マークを付けるだけのお飾りなら、そんな認定制度は、いらない」 また、ややこしいのは、"地鶏"と似たものに、"銘柄鶏"というものがある。 これは、それぞれの地域が、勝手に設定した「民間」の規格である。自己申告 だけで、認定する制度や機関も、存在しない。 (社)日本食鳥協会によると、現在、全国で、約150種類ほどあるとのこと。 基本は、ブロイラー型品種に、在来品種を交雑した鶏。在来種が、少しでも入 っていれば、"地鶏"としても、構わないという考えが根底にある。 "銘柄鶏"には、主なものに「赤鶏(三重県)」「伊達鶏(福島県)」「津軽どり (青森県)」「地養鶏(徳島県他)」「みつせ鶏(佐賀県)」「南国元気鶏(鹿児島 県)」などが、挙げられる。 「しかし、日本の食鳥市場において、これらは微々たるものなのである」 【ブロイラー="地鶏"が日本標準!?】 昨年の「食鳥流通データ」を見てみると、知っての通り、2月に、高病原性 トリインフルエンザの発生の影響があり、処理羽数は、6億8,720万羽で、 前年に比べ、2%ほど減っている。しかし、処理重量は、前年並みだった。 この内で、前章で取り上げた"地鶏"や"銘柄鶏"は、わずか2%にしかならな い。食鳥の大部分、90%を占めるのは、「ブロイラー」なのだ。この数字を 見ると、前章で述べたことが、まるで、枝葉末節に思えてくる。 良く聞かれる「ブロイラー」の定義は、肉用鶏の内、孵化後3ヶ月未満の鶏 (若どり)をいう。なお、一般に、"地鶏"や"銘柄鶏"と言われるものであっても、 孵化後3ヶ月未満のものは「ブロイラー」として、扱われる。 典型的な「ブロイラー生産」は50〜60日間の*平飼いシステム。約5kg の餌を与えて、2〜2.5kgの鶏を育てる。大きくなって、ギュウギュウ詰め の状態になったところで、"若どり"として出荷する。 *平飼い…鶏舎内、または、屋外において、鶏が、床面、または、地面を、自 由に運動出来るようにして、飼育する方法。 言わば、企業にとって最適の・・・ 「生産効率を最大限に追求した"トコロテン方式"=ブロイラー生産という事」 次に、「ブロイラー出荷羽数」を、都道府県別に見ると、九州、東北、北海 道が多い。第一位が、鹿児島県で19%、第二位が、宮崎県で18%、第三位 が、岩手県で15%、第4位が、青森県で6%、第5位が、北海道4%。 この1道4県で、全国の約62%を占める。特に、鹿児島、宮崎、岩手の上 位3県で、半分以上を占めているのが、特徴的だ。しかも、大規模な「ブロイ ラー生産」には、共通点がある。 それは・・・ 「大きなシェアを、大きな企業が、占めているということです」 【"ブロイラー生産"は、大企業で、寡占状態】 年間500万羽以上の「ブロイラー」を処理能力がある大規模な"ブロイラー 企業"(1社で複数の処理場を持つところも)は、全国で、27社(平成12年資 料)あり、その合計処理羽数は、全体の約80%も占める。 上位3県(鹿児島、宮崎、岩手)で、その寡占状況を、見てみよう。 [資料は平成11年のもの] ─────────────────────────────────── 1.鹿児島県 ─────────────────────────────────── ■鹿児島くみあいチキンフーズ(年間3,000万羽/生産・処理) ■アクシーズ(年間2,000万羽/生産・処理) ■マルイ食品(年間1,200万羽/生産・処理) ■ジャパンファーム ─────────────────────────────────── この大手4社で、県内生産総羽数 → 90%以上を占める ─────────────────────────────────── ■丸紅畜産[宮崎にまたがる](年間1,500万羽/生産・処理) ─────────────────────────────────── 2.宮崎県 ─────────────────────────────────── ■児湯食鳥[国内最大手](年間4,200万羽/生産・処理) ■日本ホワイトファーム(年間1,600万羽/生産・処理) ■宮崎サンフーズ(年間900万羽/生産・処理) ■宮崎くみあいチキンフーズ ─────────────────────────────────── この大手4社で、県内生産総羽数 → 94%以上を占める ─────────────────────────────────── ■丸紅畜産[鹿児島にまたがる](年間1,500万羽/生産・処理) ─────────────────────────────────── *鹿児島、宮崎の8社、プラス、丸紅畜産1社の合計9社で、両県「ブロイラ ー」のほぼ全量を、生産している計算になる。 ─────────────────────────────────── 3.岩手県 ─────────────────────────────────── ■阿部繁孝商店(年間2,160万羽/生産・処理) ■十文字チキンカンパニー(グループ企業で年間3,600万羽/生産・処理) ─────────────────────────────────── この大手2社で、県内生産総羽数 → 2/3以上を占める ─────────────────────────────────── 「これらの資料を見れば、寡占状態であることは、一目瞭然である」 だが・・・ これら企業の良い側面としては、産地処理場を中核として発展してきた「ブ ロイラー生産」が、これら"ブロイラー企業"との契約生産者、および、企業の 直営農場で、行なわれてきたということだ。 すなわち、産地に根ざした"ブロイラー企業"は、これまで、30年間に渡っ て、「ブロイラーの生産」「処理加工」「運送」などに、携わる多数の人々に、 労働の場所を与え、所得を保証し、地域経済に、大きく貢献してきた。 しかし、一方で・・・ 地域に根ざした企業活動は、元々は存在しなかった"地鶏"や"銘柄鶏"を生む ことになってしまう。例えば、私の住む北海道で、「伊達地鶏(伊達市)」「知 床地鶏(網走市)」という名で呼ばれる"ブロイラー"達である。 私は、10年くらい前に、動物薬のMR(薬の情報を知らせる人間)をやって いたので、この辺の事情を、良く知っている。どちらの地域にも、元々"地鶏" などは、存在しなかったのだ。 つまり、ブームに乗って、その地域で作られている"ブロイラー"を、"地鶏" と呼ぶことにより、消費者に対して、付加価値を付け、売っているのである。 これは、企業だけの責任ではない、流通業者も、結託して、行なっている。 結果・・・ 「消費者は、"地鶏"という言葉に欺され、"ブロイラー"を食わされている」 種を明かすと・・・ ─────────────────────────────────── 「伊達地鶏(伊達市)」=[第一ブロイラー]が生産する"ブロイラー" 「知床地鶏(網走市)」=知床ファーム[日本ホワイトファーム(日本ハム系列)] が生産する"ブロイラー" 世界自然遺産に選ばれた「知床」の名がついているが、 実際にあるのは、網走。そういう意味でも、詐称。 ─────────────────────────────────── *北海道内でも、この2つに欺されている人は、多いと思う。 ─────────────────────────────────── そもそも、純粋の在来種は、"天然記念物"として、食べることなど出来ない。 おそらく、消費者のイメージの中にある"地鶏"="昔の鶏"とすると、これでは、 商売が成り立たない。 理由は、「密集飼育が不可能」「成長が非常に遅い」などが挙げられる。こ れらから、生産コストが莫大にかかることもあり、とてつもない高額商品にし ないと、生産を続けることは、出来ない。 「それだけの需要があればよいが・・・」 何れにしても、消費者の認識としては、「"地鶏"="ブロイラー"」と置き換 えた方が良い。又、こういう混乱を避けるためにも、農水省は、特定JASで 認定された"地鶏"以外は、"地鶏"を名乗らせてはいけない。 ただ、伝統的に、ずっと"地鶏"と呼ばれる品種を、長年に渡って、生産して きた地域には、特例として、「特定JASの審査」を、少し簡素化して、認定 してやったらどうだろうか?今のままでは、認定が少なく過ぎる。 折角、法を作ったのならば、うまく活用してこそ、意味がある。これでは、 まるっきり「仏作って、魂入れず」である。生産者のやる気を向上させ、消費 者の誤解を解くには、"法の有効運用"をもっと真剣に考えるべきである。 「農水省さん、たまには、国民の方を見て、仕事をして下さい」 **どんな径路を辿ってくるのだろう・・・→ http://tinyurl.com/ycswxf
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