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問題は解決しない。医師の過労実態とは 私は、以前、病院のたらい回しによって、亡くなった妊婦の責任を、医師個 人に押し付けるような発言をしてしまった。だが、実態は、そんなものでは… 【"まともな医療"が出来ない】 日本医労連(医療労働組合連合会)は、先頃、こんな発表をした。 それは・・・ 「医師の労働実態調査」の中間報告である。そこには、驚くべき医師の労働 実態が、記されていた。主要例を挙げると、「宿直勤務明けも連続して、勤務 する医師=96%」「3割近くが、調査前月の休日=0日」などである。 この調査は・・・ ─────────────────────────────────── 昨年11月〜今年1月にかけて、全国の加盟単組(単位組合)などの医師を、 対象に、調査し、約1000人の回答を、まとめた。 ─────────────────────────────────── ●1日の平均労働時間 ─────────────────────────────────── 10.5時間(全体の45%は、1日12時間以上) ─────────────────────────────────── ●前月の宿直回数 ─────────────────────────────────── 平均2.9回(約4人に1人が、4回以上の宿直をしていた) ─────────────────────────────────── ●宿直明け後の勤務 ─────────────────────────────────── 「ない」と答えたのは・・・わずか4% ─────────────────────────────────── ●これまでの最長連続勤務時間 ─────────────────────────────────── 平均32.3時間(中には、60時間以上連続で、勤務した医師も) ─────────────────────────────────── ●前月の時間外労働時間 ─────────────────────────────────── 平均63.3時間(休みなし30日勤務としても、1日2.11時間) *約3割は、時間外労働手当の請求をせず、"サービス残業"だった。 ─────────────────────────────────── ●女医で、出産経験のある人 ─────────────────────────────────── 妊娠経過が「順調」だった人は、43% *2割以上が、"切迫流産"の経験者であった。 ─────────────────────────────────── 全体の約9割が「医師不足を感じる」と答えているとのことだ。これらの 医師達が、考える「医師不足」を解消するために必要な事として、「賃金・ 労働条件の改善」を挙げた人々が、最も多かった。 私は、前にも述べたのだが、「平均数字」というのは、あまり信じない質で ある。それは、どうしても、個々の数字を、平均化してしまうと、問題の本質 から、遠ざかるような感じになってしまうからだ。 ただ、今回の調査に関しては・・・ 特に、"勤務医"において、過酷な勤務実態が、疑いようのない事実なのだろ うと、推測される。こと"勤務医"に限っては、「医者=銀座のクラブで豪遊」 などという短絡的な結び付けは、誠に、失礼になってしまう。 また、この過酷な勤務実態は、医師だけに限られたものではないだろう。 そこに働く"医療スタッフ"(看護師、薬剤師、その他大勢)全てに関わってくる 問題だと思われる。 次の事例も、それらを如実に表す一端だろう・・・ ─────────────────────────────────── 昨年10月、岐阜県大垣市の市立大垣市民病院で、こんな医療ミスが起きた。 それは・・・ ある女性看護師が、誤って、60代の男性患者に、血圧を上げる効果のある 薬液を通常の約7倍点滴し、直後に、心肺停止となり、意識が戻らないまま、 死亡してしまった(2006年2月17日)。 病院によると・・・ 男性は、腸の手術を受けたが、貧血のため、翌日、2種類の薬液を、同時に 点滴。血圧を上げる効果のある薬液「カタボン」と別の薬液の投与速度を、 誤って、逆にしたため、体内に、ゆっくり流入させるべき「カタボン」が、 通常より速く、大量に流入した。 *「カタボン」の詳細 http://www.e-pharma.jp/dirbook/contents/data/prt/2119402P2077.html 投与から、約5分後に、この看護師が、ミスに気付いたが、男性の心肺は、 既に、停止。治療により、約20分後に、呼吸を再開。 院内マニュアルによると・・・ 事故防止のため「2人」で、確認をしてから、点滴を開始する。との事 内部調査によると・・・ 薬液の大量投与が、原因で、心肺が停止した可能性がある。 これだけではなく・・・ 外部の専門家などによる「第三者調査委員会」に、大量投与と心肺停止の 因果関係について、詳しい調査を依頼しているようである。 ─────────────────────────────────── ここで、問題があったのは、院内マニュアルによると「2人で確認」という ことになっていたが、現実には、「女性看護師が1人」で、点滴を行っている。 医師だけではなく、看護師を含めた「医療スタッフの不足」を、この事件は、 浮き彫りにしている。いくら、完璧なマニュアルを作っても、それを実行する に必要なスタッフがいないのであれば、まさに、"絵に描いた餅"である。 建前だけじゃなく、本音の部分で、国が、「医療スタッフの不足」の大問題 を考えて行かなければ、折角、高いレベルを持っている日本の医療が、どんど ん質の悪いものに、変遷して行ってしまうだろう。 一度、坂を転げ落ちると、早い。そして、そこから、また、レベルを上げる のは、時間がかかるし、お金もたくさんかかってしまう。何とか、今の内に、 我慢して、改革していかなければ、日本の「医療2流国」になる日も近い。 先ず、そのためには・・・ 上記の調査で、回答が出ているように、「賃金・労働条件の改善」=特に、 開業医と看護師を中心に、対策を立てて行くように、切に願っている。私の 反省も含めて、個人攻撃だけでは、日本の医療は、早晩、崩壊してしまう。 **個人責任にしたい理由・・・ http://www.unlimit517.co.jp/ib238.html
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