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「ピロリ菌」のメカニズムの全容を 「ピロリ菌」という言葉、最近はすっかり定着している感がある。だが、名 前だけが、先行して、詳細については、良く分かっていなかった。ところが…。 【効能は"胃ガン"だけにあらず】 胃炎、胃潰瘍、胃ガンの原因となる「ヘリコバクター・ピロリ菌」が、胃の 粘膜を破壊して、炎症、潰瘍、ガンを引き起こすメカニズムの全容を、 ─────────────────────────────────── 『北大遺伝子病制御研究所の畠山昌則教授(分子腫瘍学)』らの 研究グループが、「世界で初めて」突き止めた。 ─────────────────────────────────── *「ヘリコバクター・ピロリ菌」とは? ─────────────────────────────────── 今から、25年前の1982(昭和57)年に、発見された。ヘリコ(らせ ん状)バクター(細菌)。ヒトの粘膜、特に、胃の出口付近の幽門部(ピロリ)に、 生息。 長さ2.5〜5マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の1ミリ)で、 数本のべん毛を、持っている。 感染すると・・・ 8割が、「萎縮性胃炎」になる。全感染者の2〜3%程度が、「潰瘍」に、 なるが、抗生物質による"除菌治療"がある(初回で7〜8割の人に効果アリ。 2回目までは、健康保険適用)。 ─────────────────────────────────── 今回、研究グループは・・・ ─────────────────────────────────── 「ヒトの胃の細胞」を用いて、実験。 ↓ 胃に入ったピロリ菌は、 自ら作り出した「発ガン性タンパク質Cag(キャグ)A」を、 "胃の上皮細胞"に、注入。 ↓ その後、CagAが、細胞内にある「タンパク質PAR1(パー・ワン)」 と結合することを、発見した。 ↓ さらに、CagAと結合したPAR1は、正常な働きを抑えられ、 "上皮細胞"にある細胞同士をつなぐ「密着結合」と呼ばれる装置が、 壊されるのを、突き止めた。 ─────────────────────────────────── 畠山教授らは、2001(平成13)年にも・・・ ─────────────────────────────────── ピロリ菌感染が、胃ガンに至るメカニズムの一部を、明らかにしている。 ↓ ピロリ菌によって、"胃の上皮細胞"に注入された同じCagAが、 細胞増殖を促す別の「タンパク質SHP2」と結合し、異常増殖を起こす 信号を発し、ガンを、発症させる。という事を、解明。 ─────────────────────────────────── 今回と2001年の研究成果から・・・ ─────────────────────────────────── 同グループは、"全容"を解明。 CagAが、最初に、PAR1と結び付くことで、"上皮細胞"は、 正常な胃粘膜組織を、保てず、個々の細胞が、バラバラになる。 ↓ その結果、"上皮細胞"間への胃液の侵入などで、炎症や潰瘍が起き、 "ガンになりやすい環境"になる。 ↓ さらに、PAR1と結合したCagAが、 SHP2と結び付くことで、"異常な細胞"が増殖 ↓ 『ガン発症に至る』 ─────────────────────────────────── こういう報告もある・・・ 75歳までに、「ピロリ菌・陽性者」の10人に1人は、"胃ガン"になる。 "胃ガン"による死亡者は、年間5万人で、"肺ガン"に、次いで、多い。 畠山教授は、次のように、期待している。 ─────────────────────────────────── 「例えば、CagAとPAR1の結合を遮断する薬が、開発されれば、 ガンを含めたピロリ菌感染症の新しい予防や治療法に、なるだろう」 ─────────────────────────────────── その効能は・・・ さらに、ピロリ菌の出すCagAが、標的としている細胞内のシステムは、 "他の多くのガン(上皮ガン)"でも、共通するメカニズムである可能性が高い。 すなわち・・・ 今回の解明は、胃ガンのみならず、他のガンの予防や治療法にも、良い影響 を与えると、推測される。 こういう地道な解明の一つ一つが、医療の発展に寄与し、人類の健康に役立 つ。そのためには、新しい技術や薬を、充分に生かせる医療環境を作り、医師 達に、能力の限りを、患者に尽くして欲しいと、切に願う。 **6000万人を蝕む・・・ http://www.unlimit517.co.jp/ib254.html
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