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少子化の一方で、生みたいのに、生めないという病院事情が、悪化している。 この案件を、2週間前から、書こうと思い、なかなか書けなかった今まで。 色々と事情はあった・・・ けれど、今日こそは、書こう。「たらい回し」が、常在化されている今こそ。 ただし、「たらい回し」という現状は、"産婦人科"だけの問題ではない。 今年2月に、福島県郡山市で、けいれんと嘔吐を起こした82歳の女性が、 5病院を「たらい回し」にされた挙げ句に、搬送先の病院で、亡くなった。 判明したのが・・・ 9ヶ月以上も経った11月14日。何故、今まで、隠していたのだろう? これ以上、隠していたら、マスコミに暴かれ、病院には、より大きな損失? 現状を打破して行こうという姿勢よりも、保身が完全に勝っている状態だ。 こんな事をあげつらっていても・・・ しょうがないし、良い方向に、前進出来ないので、本題に、入って行きたい。 先ず、当然、"産婦人科"を含めて、救急医療の医師やスタッフ、施設などが、 非常に少ない事は、既に、分かっている。緊急時に、充分対応出来ない事も。 医療全般・・・ 特に、救急医療に対する国の無策や無能ぶりを、批難されて、当然だろう。 この事については、マスコミを中心として、これからも、目を光らせるべき。 その上で、早急に、適切な改善をして行かなければ、不幸な患者を増やす。 けれど、現実的な問題として・・・ 医師やスタッフ、対応可能な施設などを、直ぐに、増やすのは、無理である。 時間も掛かるし、もちろん、お金だって掛かる。それらを待つだけだったら、 不幸な患者を減らせるどころか、却って、増やしてしまう可能性だってある。 それならば・・・ 今の医師やスタッフ、施設等を有効に活用し、"最善の策"を取るべきである。 その"最善の策"というのは、地方の事情もあり、一律とはならないだろう。 ただ、国が全面的に協力した上で、地方自治体に迅速な対応や措置を求める。 我が街・札幌では・・・ 昨年1年間に、救急車が、"産婦人科"に搬送した件数が、1076件。 この内、手術などで受け入れを、6病院以上に断られたのが、6件。 割合にすると、0.56%程度だが、現状は、極めて深刻であると受け取る。 こういう事情も鑑み、札幌市では・・・ ─────────────────────────────────── 今年10月1日から、以下のような「母子電話相談制度」の試行を開始 ─────────────────────────────────── 夜間急病センター(PM7:00〜AM7:00)助産師2名常駐 市民からの相談受ける ─────────────────────────────────── その際、既に・・・ ─────────────────────────────────── 新生児集中治療室(NICU)を備えた病院の空き状況を把握 ↓ 搬送先を探す ─────────────────────────────────── *もし、札幌の病院が、満床の時は、近隣の病院に確認 ─────────────────────────────────── ↓ 救急隊に搬送先を電話で知らせる ─────────────────────────────────── *この制度が開始された背景には、札幌市産婦人科医会が、夜間救急の当番制 から撤退し、新たな救急体制を、早急に作る必要に迫られたというのもある。 ─────────────────────────────────── ↓ ─────────────────────────────────── 【母子共に危険と判断した場合】NICUのある6病院 ─────────────────────────────────── 市立札幌病院(総周)、天使病院(地周)、北海道社会保険病院(地周) 北大病院、札医大病院、道立総合子ども医療・療育センター ─────────────────────────────────── *総周=総合周産期母子医療センター *地周=地域周産期母子医療センター http://www.jaog.or.jp/japanese/jigyo/JYOSEI/center.htm ─────────────────────────────────── *周産期=妊娠後期から新生児早期までのお産に関わる時期のこと。 ─────────────────────────────────── 【緊急性がないと判断した場合】 ─────────────────────────────────── 翌日の受診を促したり、夜間センターにいる内科医の受診を勧める。 ─────────────────────────────────── 今のところは・・・ 特に、大きなトラブルもなく、順調に、機能および推移しているとのこと。 この一つの要因として、「人間が介在している事」と、私は見ている。 つまり、2人の助産師、お産に関するプロに相談する事が、安心感を与える。 それだけ・・・ 現代人は、周囲に、一般的なことでさえ、相談する人もなく、孤立している。 まして、「お産」という昔なら一般的だが、今なら、特別な人生の出来事を、 相談出来る人が、激減している。母親の頃とは、お産事情も異なっている。 そんな心細い"周産期"に・・・ 専門の相談にも乗ってくれる人がいることが、どんなに心強いことか、 その好影響は、予想よりも、ずっと大きいことだろう。もちろん、母体にも。 時には、自分の悩みが、「取るに足らない事」だと、気付かせてくれる。 その事により・・・ より緊急を要する母体を、適切な医師やスタッフ、設備の整っている病院に、 より迅速に、かつ、安全に、搬送し、その後の素早い処置が、可能になる。 現在の少ない陣容で、最大限の効果を上げるためには、「初期判断」が、 特に重要になってくる。場合によっては、助産師だけじゃなく、医師も、 必要になってくるでしょう。分娩に関する合併症は、たくさんありますから。 何れにしても・・・ 不安で一杯の母体に対し、「安心感」を与えることは、どんな薬にも勝る。 女性は、特に、自分の話やグチを聞いてもらうだけでも、心が安まるのです。 そのために、必要なのは、親身になって聞いてくれ、アドバイスしてくれる 人であり、この場合だと、お産の専門家である助産師さん、その人なのです。 何故、私が、殊更、「人間」を強調するかというと・・・ 全国の37自治体では、「インターネット」を使い、緊急処置の必要な母体 の搬送先(空きベッド情報等)を、検索するシステムが、存在するのである。 ところが・・・ 各地の総合周産期母体センターなどでつくる「全国周産期医療連絡協議会」 の実態調査によると、現状では、ほとんどこのシステムが機能していない。 ─────────────────────────────────── 調査は2007年9月、協議会に参加する周産期医療施設にメールで依頼。 各都道府県ごとに、一施設以上から、回答を得る。 ─────────────────────────────────── 【調査結果】 ─────────────────────────────────── 27自治体(73%・37自治体の内)= 十分機能していない ─────────────────────────────────── 《理由》 ─────────────────────────────────── ●情報更新がうまく行かない(11自治体 40.7%) ─────────────────────────────────── *東京都内の妊婦が、8ヵ所の病院に「たらい回し」にされ、脳内出血 で死亡した事件でも、このシステムが、最新情報を反映させなかった。 ─────────────────────────────────── ●電話の方が確実(8自治体 29.6%) ●ほとんど満床なので意味がない(3自治体 11.1%) ●必要性が感じられない(2自治体 7.4%) ●こうしたシステムは存在しない(6自治体 22.2%) ─────────────────────────────────── *たまたま、回答をくれた施設には、システムがなかったということか。 ─────────────────────────────────── 母体の受け入れ先が、決まらない場合・・・ 半数以上の地域では、(総合・地域)周産期母子医療センター等の基幹病院が、 他の搬送先を、探しているという実態が、この調査で、明らかになった。 ─────────────────────────────────── 【現場の悲痛な叫び】(上記調査の自由記述より) ─────────────────────────────────── ●いつも、「収容先が決まらないのでは…」という不安と戦いながら、 電話を掛けまくっている。 ●空きベッド情報を、医師が、1日何回も、更新するのは困難。 ●業務をしながら、受け入れ病院探しは、大きな負担になる。 ●当直医が、受け入れ探しで、1〜2時間拘束される。 ─────────────────────────────────── 現場から洩れてくる声を、推測するに・・・ ─────────────────────────────────── 「好き好んで、受け入れを拒否している訳じゃない。出来れば受け入れたい」 「医師だけじゃなく、医療関係者ならば、目の前の患者を救いたいのが当然」 「不完全なスタッフで、治療を施し、失敗した時に、責められるのが恐い」 「東京ならば、どこかの病院が空いている。何とかなる、なってちょうだい」 「この前は、こちらが受け入れを断ったのに、直ぐには、頼みにくいよ」 「緊急だから受け入れるのは良いが、その後に、入院をさせることは無理」 「脳の障害も十分予想されるが、専門医が今いないんだよな。処置出来ない」 「俺、研修医。まだまだ、俺の一存じゃ、決められないよ。どうにかして」 「誰か、私に代わって、受け入れてくれる病院、探してよ。もう私ダメ」 「空きベッドにしたら、どんどん患者が運ばれてくる。もう、疲れたよぉ」 ─────────────────────────────────── 正直・・・ もうこれ以上、少ない病院スタッフに、負担を追わせることは、酷である。 だからこそ、札幌市の「電話相談制度」のように、重症と軽症の母体を、 人間の手を介在させることによって、うまく振り分けるシステムが必要だ。 その際の人間の手は・・・ 現場とは、一線を画しているところにいる人間じゃないと、意味がない。 予め得た情報によって、冷静に、しかも、迅速に、コーディネートする。 現場で、実際の患者を目の前にしたら、どうしたって、少しは冷静さを失う。 その部分は・・・ 他の人間が、補ってやらなければ、ならない。人間には、限界があるのだ。 その事を、充分に踏まえた上で、その時、出来うる"最善の策"を施すのが、 国であり、地方自治体である。マスコミも批判ばかりじゃなく、後押しする。 "少子化"が加速される昨今・・・ 子供を産んでくれる女性は、今や、希少価値になりつつある。このままでは、 人間がいなくなり、その結果、日本が消滅ということにも、なりかねない。 「子どもは国の宝」、当然、子宝を生んでくれる「母親も国の宝」である。
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