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大脳生理学からその謎を解いてみる2 【前回→】http://www.unlimit517.co.jp/ana28.htm 先週に続いて「大脳生理学」の見地から"学力低下"を検証します。けれど、 この側面は[ほんの一部]と言うだけで"学力低下"の全ての理由をこれで説明出 来る訳は、到底ありません。 様々な要因が、複雑に入り交じって、昨今のような"学力低下"を招いている ことは間違いありません。 それを前提として・・・ 【"単純な計算"は実用的か?】 先週、川島教授の実験により「テレビゲーム」と「単純な計算」の比較を行 ないました。しかし、日常生活の大抵の活動が「計算」の時よりも脳活動を促 すものではない。 だから、「テレビゲーム」だけ、"脳活動を阻害するもの"とするのはいかが なものであろうかという疑問。その上、いくら"脳活動を活性化するからと言っ て、対照となっている「単純な計算」を現実的に日常生活の中で何時間もする なんて事はほとんどないという意見。 「比較対象としてはもっと『現実的な意味があるもの』を選ぶべきではないか?」 最近のメディアで、"現実的"であると言えば「インターネット」であろう。 ただ、これを比較対象として実験した場合、インターネット中の「何を題材に するのか?」という選択が困難だと思われる。 だが、「大脳生理学」の見地からの題材としてみた場合「インターネット」 というのは、とても魅力的な媒体で、今後の研究が待たれるところである。 ここで一つ問題があるのだが・・・ [大脳生理学上] 前頭前野のシナプスの密度は、生後1ヶ月から3ヶ月くらいに一時急増した 後に、1歳前後から5歳くらいまで一気に増えて、ピークを迎えるのである。 この後は、いわゆる余分なシナプス(神経細胞の接合部)の摘み取りが始まる。 そして、16歳頃までに25%程が徐々に減少し、16歳から20歳ぐらいま でにピーク時の約半分ぐらいに一気に減少して、 「脳が完成する」 つまり、川島教授が実験に選んだ「大学生」というのは、ほぼ脳が完成に近 づいているので、その段階で"テレビゲームの影響"があるとしても大した意味 を持たないのではないかという疑問だ。 確かに、実験をするにしても、今回のOECD試験のように「15歳の学生」 を対象にした方が、脳の発達段階やその後の対応策という点から見ても良いと 思われる。 それらに反論ではないが・・・ この「大脳生理学上の問題」や「インターネット」を踏まえた上で 川島教授は"1つの答え"を自分の著書を通して、出していると思われる。 それは・・・ http://tinyurl.com/5g7r7 に代表される。 この著書はどちらかというと青少年の"学力低下"という意味合いより、大人 の痴呆(認知…分かりにくい)症を防止するなどに力点が置かれている。 「俺もなぁ、40歳を超えたら、記憶力ががくっと落ちちゃったもなぁ〜(^^;)」 青少年の"学力低下"で懸念されるところがあるとすれば「脳が完成」される 前までに、充分に前頭前野を使っていなければ、脳に活力がなくなってしまい、 結果として"学力低下"を招いてしまうという事だ。 【大脳活動の型は"2つ"ある】 前頭葉には、思考や創造など高いレベルの認知処理を司る以外にも、行動や 感情をコントロールする機能がある。それが、興奮や抑制をうまく切り替え、 バランスを取っているのである。 だから、前頭葉が「不活発」な脳は、アクセル(自己主張)とブレーキ(耐性) のバランスが取れていない『子供の脳』であり、「活発」な脳は、バランスの 取れた『大人の脳』である。 最近の調査から、日本では、本来ならば、年齢と共に減少して行く「不活発 型」が減少せず、増加するはずの「活発型」が増加していない事が分かった。 [この原因として・・・] 1.テレビゲームやテレビ、読書、音楽鑑賞、インターネットなどの静的な遊 び(部屋に閉じこもって遊ぶ)に多くの時間を費やしている。 2.戸外で運動をするなどの機会が極端に減っている(部活動やサッカー、野 球の少年団などに入っている子供を除く)。 3.人との触れ合いの絶対数が足りない。etc… 「他にも様々な要因はあるだろうと思う」 [その影響や対応策は・・・] 1.脳のバランスの悪さが「暴力的な事」に引っ張られやすくなる傾向がある。 特に暴力的なテレビゲーム(現実性や報奨性)にその影響が強く見られる。 2.バランスの悪さが、良い意味での「脳の使い分け」を妨げ、自分の興味の ないもの(例えば、学習)に対する集中力が著しく低下してしまう。 3.ニートなどもそうだが、「学力低下」という小さな範囲ではなく、大きな 範囲で、生きる気力もやる気もなくなって来ている傾向が見られる。更に その問題をバランス良く考える「脳」も未発達なため、[問題解決能力]が どうして低下してしまう。 4."ゆとり"教育は「先生にゆとりを与えた」が、生徒からは「勉学の時間」 を奪っただけだった。 5.「詰め込み教育」を否定してはいけない。例えば、インプットする情報の 量が少なければ、[思考力]や[想像力]を働かせようと思っても、それに引 っかかる絶対的な情報量が少ないため、多角的な[思考力]や[想像力]を養 う事にはならない。 6.アメリカでは、日本以上に"学校(学級)崩壊"が酷かったが、改善策として 日本の教育制度、特に「詰め込み教育」の部分を採用したところ、少しず つ事態が好転してきたという報告がなされている。 7.前回の「単純な計算」と「テレビゲーム」を比較した実験でも分かったが、 単純な計算の方が、脳の活動範囲、活動レベルが高い。また、最近の研究 によって、「音読」なども効果があるようだ。これに軽い体操(柔軟)など を組み込んで、日常生活を子供達に送らせるのも"学力低下"を防ぐ一つの 方法だと考える。 8.家族で話し合い、「テレビゲーム」や「テレビ」の時間を決める。親子間 の約束として、厳しく守らせ、破ったら、罰則を作る。親も守る。etc… 他にも色々な影響や対応策があると思います。ただ、日本は未だに「世界の トップレベルにある学力」を有しています。欧米を真似ただけの短絡的な対応 をせずに、長い目で見た「教育改革」が肝要だと思います。 「たかが"学力" されど"学力"」 【大脳を図解で】http://www.ncsm.city.nagoya.jp/exhibits/L/L5/3517.html
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