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そんな『種イモ』未登録事件の顛末とは… 以前、動物薬のMRをしていた時、洞爺湖の近辺で「カルビー契約農場」と 書かれた誇らしげな看板をたくさん見ました。昔から食べていたよなぁ〜…。 【事件のあらまし】 ポテトチップスで有名な"カルビー(本社:東京)"の子会社「カルビーポテト (本社:帯広)」が、『植物検疫法』に基づく検査を受けずに、原料となるジャ ガイモの種芋を、契約農家に栽培させていた。 検査を受けず、"合格証"のない種芋は、生産地からの持ち出しが禁止されて いる。「カルビーポテト」は、未検査の米国産種芋"スノーデン"を、北海道内 のみならず、東北、関東、中部、四国、九州などの契約農家にも供与していた。 "カルビー"が、昨年(2004)に、ポテトチップ原料として、製造工場に供 給したジャガイモが「約20万トン」。その内、未検査の種芋から栽培された のは、な〜んと「約3万トン(約15%)」も含まれていた。 「食品加工大手カルビーが、しかも知名度も抜群!何でこんな事をしたのか?」 【"植物検疫法"とはどんなもの?】 ところで、 何故、「種芋が必要なのだろう?」と疑問に思いませんか。毎年、収穫した ジャガイモから、"種芋"を選別し、翌年は、それを使って、育て、収穫すれば いいんじゃないのって、思いますよね。 「でも、そうは、いかんざき!(チョッと古かったですね(^^;)」 それには・・・ 先ず、「カルビーポテト」が守らなかった『植物検疫法』とはどういう理念 や目的で、成り立っているのかを説明致します。 理念や目的は、"病原菌のまん延防止"を図るために、1951年に制定され た。特に、種芋に関しては、病害虫に罹りやすく、被害が拡大しやすいため、 厳しく管理されている。 そういう理由から、「必ず、植物防疫所で検査」を受けて、栽培した後、一 般の農家に販売される仕組みになっている。 「具体的には、次のように定められています(法律なのでちと堅い…)」 ─────────────────────────────────── その[第6条]1項に、こうあります。→ 問題となった"スノーデン"は米国産 輸入する環(栽培の用に供しない植物であつて、検疫有害動植物が付着する おそれが少ないものとして農林水産省令で定めるものを除く。以下この項及び 次項において同じ)及びその容器包装は、輸出国の政府機関により発行され、 かつ、その検査の結果、検疫有害動植物が付着していないことを確かめ、又は 《信ずる旨を記載した検査証明書》又は、その写しを添付してあるものでなけ れば、輸入してはならない。 また、[第13条]1項には、現在、国内で栽培されているものも、 農林水産大臣の指定する繁殖の用に供する植物(以下「指定種苗」という)を 生産する者(以下「種苗生産者」という)は、毎年、その生産する指定種苗に ついて、その栽培地において栽培中に、植物防疫官の検査を受けなければなら ない。 ─────────────────────────────────── 「カルビーポテト」は、1992年から、このスノーデンを導入、1997年 頃から、"試験栽培"と称して、農家に提供し、栽培させていたとの事だ。 今回、農水省は、公訴時効(3年)にかからない2002〜2004年までの 3年間で、約5,000トンの未検査種芋を、農家に供給していたとして、告 発したのである。 「1997〜2001年、その間はどうだったんだ?という疑問が湧く」 この5年間にも、未検査の種芋で作られたポテトチップスを食べさせられて いた可能性は高い。ここで、最初の疑問に戻るが、何故この「種芋」というも のが必要なのか? ジャガイモは、ほとんど種からじゃなく、検疫済みの「種芋」から育てます。 その大きさや種の付き方などによって、1/2や1/3くらいにして、60〜 70cm間隔で、植えて行きます。 この検疫済み「種芋」から育てた方が、大きくなるのも早いし、最大の問題 である"病虫害"にやられにくいという利点があります。また、企業と契約して いる農家などでは、毎年、収穫量を約束させられますから、安定した量を確保 するためにも、「優秀な種芋」が不可欠になるのです。 もし、そこで収穫した芋を、翌年「種芋」として使用するという事をやった としたら、「病虫害に対して、弱くなる」「収穫量が激減」など、安定した量 を得る事が、不可能になってしまいます。 『それでは、何故、こんな大切な「種芋」の検疫を怠ってしまったのだろう?』 【理由は"原料の確保"か?】 この事件が、農水省から、道警に告発されるきっかけとなったのは、契約農 家の農場で、2004年11月、病害虫の*ジャガイモシストセンチュウが見 つかり、「カルビーポテト」から、道に対して、報告があった。 *ジャガイモシストセンチュウは、土壌に生息し、ジャガイモの根に寄生する ため、直接、人体に対する影響はありません。 その際に、「カルビーポテト」から、防疫検査を受けずに、「種芋」を農家 に譲渡していたとの説明があったために、"ポテトチップスの加工用原料調達" 目的で、大規模な違反行為が発覚したのだ。 「良心を持っていた子会社が、親会社の圧力に耐えられなくなったのか?」 どうも、親会社のカルビーは、毎年3月以降の主力品種(トヨシロ)の不足を 補うために、加工用原料の調達に、奔走していたふしがある。そのために、未 検査で、スノーデンを利用したのではないかとの疑いがある。 また、ある情報によると・・・ 「カルビーポテト」では、数年前まで、製造工場に供給前のジャガイモの長期 貯蔵時に、糖分の増加を防ぐため(揚げた時に黒くなってしまうから)、"芽止 め剤"と呼ばれる薬剤を使用していた。 しかし、この薬剤に、「発ガン性」を取りざたされたために、現在は使用を 中止している。ここに見られるのは、TVのCFなどで言われているような「 新鮮なポテト」ではなく、少しでも長く保たせたポテトを使うという企業姿勢。 この"薬剤中止"で焦ったのか・・・ そのために選んだ代替品種が「スノーデン」だったのである。この品種は、 次のようなカルビーにとっては、願ってもない長所を持っていた。企業の利益 と品種の特徴は、確かに合致した。 ○長期に保存しても、糖分が増えない。 ○そのため、油で揚げても、黒く焦げにくい。 「今までも問題がなかったから、大丈夫だろう。と高を括り、 義務である"検疫"を飛ばし、企業の利益を追求した」 というのが、現実の姿勢であろう。 ─────────────────────────────────── カルビー・松尾社長の言葉が、それを表わしている。 「消費者とは関係ない。誤解を生じている部分がある」 ─────────────────────────────────── "誤解"って、何の誤解か?って、聞き返してみたいよ! この社長には、「食の安全」に対する責任感や迷惑を掛けた契約農家、消費 者に対する謝罪すらない。食品加工会社のトップが、そんな認識じゃ、口から 入れるものの「安全性」は誰が守るんだい!! 確かに、未検査の種芋で作られた「ポテトチップス」が人体に影響を与える ような食品ではないのかもしれない。ただ、"企業の倫理"として、今回の件は、 許す事が出来ない。 ─────────────────────────────────── 道は、3月23日、「カルビーポテト」の種芋供給者登録を取り消す事を決 定。3月中には、同社に通知する方針。これが正式に決まれば、カルビーも、 子会社を通じて、種芋の供給が出来なくなる。 ─────────────────────────────────── ↓契約農家の救済策 ─────────────────────────────────── 「カルビーポテト」の種芋→1,623トンは廃棄処分。これで種芋の供給が 停止になった農家に対して、ホクレンが、"代替種芋"を確保に走っている。 ─────────────────────────────────── 「いくら子会社のやった事だと言っても、 売上2,000億になろうとする大企業カルビーの対応ではない」 [植物防疫法の詳細] http://www.houko.com/00/01/S25/151.HTM **こんな基準もあります・・・ http://tinyurl.com/3jrvn
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