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欧米人に比較すると、
日本人が「糖尿病」になりやすい理由とは…



 予備軍も含めると、約1,620万人に影響を及ぼす「糖尿病」。昔から、
この病名は"メジャー級"だが、本当にこの病気の事を知っているのだろうか?

【現代の疫病"糖尿病"の現状】

    ★740万人 ☆4,000人 ◆8,000人 ◇2兆円

      「上記に挙げた数字はいったい何なんだろう?」

 まぁ、「糖尿病」を取り上げているのだから、それに関連した数字だとは予
想出来ると思う。でも、「糖尿病」という病気を余り知らずに、数字をパっと
出されただけだと、どれがどれなんだかさっぱり分からない。

 それでは、説明しましょう。
───────────────────────────────────
 ★740万人…日本国内の"糖尿病患者数"(2003年度・厚労省調査)。
        問題は、この内の半数ぐらいが「未治療」か「治療を中断」
        しているという事。多くは、"自覚症状"がないために治療し
        ないが、"合併症"を引き起こす可能性は大である。

        40年間で50倍、この5年間でも50万人増えています。

 ☆4,000人…糖尿病が合併症を引き起こし、"失明"に至らせる年間数。

 ◆8,000人…新たに"人工透析"を受けなければならなくなる年間数。

 ◇2兆円…糖尿病にかかる"年間の医療費"
───────────────────────────────────

        「えぇ〜〜〜、こんな恐い病気だったの!?」

 いきなり恐い数字から、取り上げてしまいました。しかし、これが"現代の疫
病"と呼ばれている「糖尿病」の現状です。でも、病気自体がどんなものか?分
からないとその恐ろしさが見えてきません。次に「糖尿病」のメカニズムを読
み解いて、行きます。

【"糖尿病"のメカニズム】

「糖尿病」は大きく分けて、次の4つに分類される。

1.1型糖尿病(インスリン依存型)→ "生活習慣病"ではない

  膵臓のランゲルハンス島にあるインスリンを作るβ細胞が、何らかの原因
  で破壊され、インスリンを分泌出来なくなって、発症する。主に、15歳
  以下の小児期に、急激に発症する事が多い。かつては「若年型糖尿病」と
  呼ばれていた。治療に「インスリン注射」が不可欠。

2.2型糖尿病(インスリン非依存型)→ "生活習慣病"

  日本人の"約95%以上"がこの型。遺伝的に「糖尿病」を起こしやすい体
  質の人が、エネルギーの過剰摂取や栄養の偏った食事、肥満、ストレス、
  運動不足などの環境因子によって、インスリンの分泌量が低下したり、イ
  ンスリンの血糖を下げる作用が弱くなって、発症する。

  治療には、必ずしも「インスリン注射」を必要としない。この型は、元々
  40代で発症する事が多かったが、最近では、肥満児の増加と共に、10
  代で発症するケースも増えている。

3.「遺伝子異常」や「内分泌疾患」など他の病気が原因となるもの

  遺伝子の異常、肝臓や膵臓など内分泌器官の病気、感染症、免疫の異常な
  どその他の病気が、原因となって、「糖尿病」が引き起こされるもの。
  "薬剤"が原因となるケースも確認されている。

4.妊娠糖尿病

  妊娠中に発見された「糖尿病」。通常であれば「ホルモン」などが影響し
  ても、出産後、正常に戻る事が多いのだが、"新生児に合併症"が出るケー
  スも増えている。

  次の様な報告もある。1996〜2002年の7年間、"妊娠糖尿病"が増
  加し、全国で少なくとも、219人の赤ちゃんが、先天異常になったり、
  出生直後に死亡するケースが確認されている。


 「質問!糖尿病に一番関連する"インスリン"って、どんな物質なの??」


★"インスリン"とは・・・体の中で、唯一「血糖値を下げるホルモン」。食後
            に、血糖値が上がらないように、調節する。

            その上、血液中のブドウ糖を、体の細胞に送り込ん
            で、「活動エネルギー」に変えたり、「脂肪」や「
            グリコーゲン」というものに変えて、エネルギーと
            して蓄える。
            
            そのために、"インスリン"が不足したり、うまく働
            かないと、ブドウ糖が、細胞に取り込まれなくなり、
            血液中のブドウ糖が使えなくなる。

            結果として、血糖値が上がってしまい、筋肉や内臓
            にエネルギーも運ばれなくなるから、全身の「エネ
            ルギー不足」まで招いてしまう。


       「どうなったら、"糖尿病"って、なっちゃうの??」


★"糖尿病"の診断基準…1.「空腹時の血糖値」と75gのブドウ糖を飲んで、
           2.「2時間後の静脈血しょうのブドウ糖濃度」を調
           べる。

           1.の値が、1デシリットル当たり126mg以上か
           2.の値が、200mg以上のいずれかが、2回以上
           確認されると『糖尿病』(1回だけの場合、"糖尿病型")


            「ここで"本題"に戻ります」


【"糖尿病"に対する日本人と欧米人】

 よく「糖尿病」が増えた原因の一つに、"食生活の欧米化"が挙げられる。確
かに、昭和20年代には、穀類(主に、ごはんやイモ)を1日に500gも摂取
していたのが、現代では、その約1/2の280g程と激減している。

 その代わりに、脂肪の摂取量が、18g→60gと約3倍ほどになっている。
ただし、欧米人に関しては、現代でも、脂肪を1日約100gぐらい摂ってい
る人が多いので、正確に言うと、「食生活の"半欧米化"」である。

 しかし、この「食生活の激変」が、元々農耕民族だった日本人を"糖尿病"に
罹りやすくしてしまったのである。その理由は、我々日本人を含めた東洋人の
『インスリンの分泌量=狩猟民族だった欧米人の約35〜50%』にしかなら
ないからである。

 だから、ごはんなどの穀類を中心とした伝統的な食生活であれば、この少な
いインスリン分泌量でも、正常な血糖値を保っていける。だが、欧米型の脂質
量が多い食事に、肥満や運動不足などが重なれば、簡単に「糖尿病」となって
しまう可能性が高い。

 こういうデータもある。欧米人は、インスリン分泌が良好なため、太ってい
ても、「糖尿病一歩手前の予備軍」で留まる。けれど、日本人やアジア人など
は"小太り"でも「糖尿病」になり、"標準体重"でも「予備軍」になってしまう。

 また、最近は、ごはんなど穀類のデンプンのように、食べてから、ブドウ糖
になるまでの時間が掛かる食品が少なくなり、直ぐ、ブドウ糖になってしまう
砂糖(清涼飲料水やスナック菓子など)の摂取量が増えてきた事も、「糖尿病」
の増加に、深く関係している。

 それらに追い打ちを掛けるように、昨今の小中学生は、平日の「給食」で、
かろうじて栄養バランスを取っているが、休日は「コンビニ弁当やインスタン
ト食品、外食」などで栄養バランスを崩した上、カロリー過多の食生活を送っ
ているとの事だ。

 全般的に、この子供達は「食物繊維(穀物などから得られる)の摂取量が少な
いために、便秘気味で、その上、運動不足」なども重なっている。まさに、幼
い頃から、「糖尿病」を発症させるために、生活を営んでいる感じである。

 ここ10年ほど、欧米のヘルシー志向の中心にあるのは「日本食」である。
これが、"生活習慣病"のまん延する現代人にとって必要だと、世界が認めてい
るのである。一番、その良さに疎いのが当の『日本人』とは余りに情けない。

 
「日本人、欧米人、民族的な違いは確かにある。しかし、日本人が、このまま
 の食生活、ライフスタイルを続けたら、1,000万人の糖尿病患者を出す
 のは間近だ。貴方が、少しでも、生き長らえたかったら、"日本食のDNA"
 を増やして行くしかないと私は思う」


  **来週は「糖尿病の合併症と治療法の最前線」を取り上げます。


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