毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門

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やさしく読み解く入門」


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延命効果なしの抗がん剤"イレッサ"。
でも、東洋人には効くって本当!?



[夢の新薬]と言われて、2002年7月世界に先駆け、承認された"イレッサ"
その後、34ヵ国で承認された先進的な抗がん剤は一体どうしてしまったのか?


【まず"イレッサ"とは何か?】

 箱の中の説明書から、サラ〜っと説明すると・・・(詳細は後ほど)
───────────────────────────────────
[製造・発売元] アストラゼネカ社(英)

[成分名] ゲフィニチブ

[販売名] イレッサ錠250

[剤名] 抗悪性腫瘍剤 / 上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキ
             ナーゼ阻害剤

[効能・効果] 手術不能、又は、再発非小細胞肺癌

[用法・用量] 通常、成人には、ゲフィチニブとして、250mgを1日1回
       経口投与する。
───────────────────────────────────
[使用上の注意] ←ここの部分が一番肝心!(チョット長くなるけど)
───────────────────────────────────
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

●急性肺障害、突発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性
 肺炎、または、これらの疾患の既往症のある患者(間質性肺炎が憎悪し、致
 死的となる症例が報告されている)。

●全身状態の悪い患者(全身状態の悪化と共に、急性肺障害、間質性肺炎の発
 現率及び死亡率が上昇する傾向がある)。←2004年9月に改訂

●肝機能障害のある患者(本剤投与中に、肝機能検査値の上昇が見られている。
 また、代謝及び排泄機能が低下しているため、本剤の血中濃度が上昇する可
 能性がある)。
───────────────────────────────────
   「これらを踏まえて(何度も読み戻るかもしれません)・・・ 」


【医者は"説明責任及び検査"を果たしているのか?】

 特に、"慎重投与の2番目"が、今回のやり玉に挙がっている部分である。し
かし、この説明書の一番最初の部分にわざわざ「赤字で"警告"」が書かれてい
るのである。

 そこの2.には、こうある。

「本剤の投与により、急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、
胸部X線検査等を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、
投与を中止し、適切な処置を行うこと。

 また、急性肺障害や間質性肺炎が、本剤の投与初期に発生し、致死的な転帰
をたどる例が多いため、少なくとも投与開始後4週間は、入院、または、それ
に準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に
行うこと」

  「つまり、医者は注意深く、次の事柄を行ったか?」 ということだ。
───────────────────────────────────
    1.胸部X線検査等を行った上で、十分な観察をしたか?

    2.異常が認められた場合、直ぐに投与を中止したか?

    3.投与開始4週間に適切な施設で、十分な観察を行ったか?
───────────────────────────────────
「薬害」という事が出ると、直ぐに"製薬会社"がやり玉に挙がる。私は、昔、
そちら側の人間をしていたからと言って、過剰なかばい立てをする気は毛頭な
い。しかし、この様な「警告」を出していたのにも拘らず、医者が充分にそれ
らを配慮していなかったとすれば、話は別である。

 その辺に配慮している"がん専門医"もたくさんいることだろう、だが、私の
経験から言っても、様々な医療関係者の声を総合しても、「医者の薬品に対す
る無配慮」を非難する声は多い。

 別の種類のガンであるが、私の知人の話を聞いても、「検査」「副作用」
「服用後の経過やその観察」「異常が認められた時の反応」など全てにおいて、
あまりに無頓着で、驚いたとの事だった。

 それがなんと・・・「がん専門医」。一番こういう事に、気を遣わなければ
ならないドクターが、この体たらくです。一般的な内科医など推して知るべし
でしょう。

 こういう事例から見ても、「薬害」というのは、かなりのパーセンテージで、
「医者の方にも責任がある」という事が言えるのではないでしょうか?

  「ちょっと脱線しましたので、もう一度、"イレッサ"に戻ります」


【"イレッサ"その効能・効果】

 効能・効果の項目にあるように、肺癌の内、「非小細胞癌」という種類に効
果があります。この癌は、肺癌の80%という高率を占め、しかも、抗がん剤
に対する感受性が低く、70%程度は、発見時点で切除不可能な「進行癌」の
場合が多い。

 そのために「手術不能」という効能も示されている。

 ここから読み取れるのは、「かなり危ない状態の患者」に使用しているとい
う事だ。こんな言い方をしたら、申し訳ないかもしれないが、「一か八か」と
いう一つの賭に出る薬であるのではないか?

 だから、「劇的に効く人」もいれば、弱っている体に鞭を打ったため、「肺
炎を併発して亡くなってしまう人」も存在するのではないか。この辺のところ
を投薬する前に、医者は充分、患者の家族に対して、「インフォームド・コン
セント」を施しているのか、いささか疑問である。

 それから、今回、大問題になった「延命効果」だが、それを薬だけの要因に
置き換えて良いのだろうか。私は、患者の延命というのは、決して薬だけの問
題ではないと思う。

 むしろ、医者や看護師、病院の雰囲気などの環境による部分が大きく絡んで
くるのではないかと考えている。たとえ、寝たきりであっても、周りの空気と
いうものを敏感に察知するのが、患者である。

 また、"イレッサ"(ゲフィチニブ)の作用機序は、[剤名]にあるように、ガン
細胞に多く発現している上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼを阻害
する事です。

 この作用により、ガン細胞の増殖や転移を促す"シグナル伝達経路"を遮断し、
「抗ガン作用」を発現するものとされています。

 遺伝子や遺伝子の命令によって作り出される蛋白質などの中で、問題となる
"特定の分子"に狙いを定め、攻略する薬を「分子標的薬」と呼んでいます。

     「つまり、特定分子に対する"ピンポイント攻撃"です」

 これまでの「抗がん剤」が、直接、ガン細胞を破壊するのに比べて、"イレッ
サ"(ゲフィチニブ)が大きく異なるのは、この点にあると言えるでしょう。これ
が、「夢の新薬」と呼ばれた大きな要因だと思われます。


【メーカーの臨床試験と厚労省発表】

 製造・販売元のアストラゼネカ社は、昨年12月に「生存率に関する臨床試
験」の結果を発表した。
───────────────────────────────────
[対象] 世界28ヵ国(承認されている)1,692人、日本は対象外(なぜ?)
[試験] イレッサと偽薬(プラセボ…薬の成分が入らず、薬理作用もないもの)

    を処方して、生存期間を比較した。

[結果] イレッサ服用患者 5.6ヶ月 →特に"延命効果"認められず
    偽薬服用患者   5.1ヶ月

[東洋人] イレッサ服用患者 9.5ヶ月 →東洋人に関しては若干の"延命

     偽薬服用患者   5.5ヶ月  効果"が認められた
───────────────────────────────────
 結果から、メーカー側は・・・(○は、メーカー発表、●は、私の疑問)
───────────────────────────────────
○ 台湾やマレーシアなど"東洋人"342人で、延命効果が確認出来、日本人
  にも有効と思われる。

● 東洋人以外が、1,350人いる計算になる。東洋人のサンプル数も充分
  とは言えない。また、他を「西洋人」という括りにしたら、問題が起きる
  はずである。何か"白人優位"という論調を強く感じる。

● しかも、世界で一番最初に承認した日本が、何故、東洋人に含まれていな
  いのか。影響力の強い日本を外す意図が理解出来ない(厚労省との取り決
  めでもあったのか?)

● 日本人も、実際に試験しなければ、有効かどうかは分からないはずだ。

○ イレッサを服用すると「間質性肺炎」を起こす割合が高くなるという明確
  な関係はなかった。

● これの根拠となるデータが、具体的に示されていない。

○ 喫煙しない患者ほど、「イレッサ服用」の効果が大きい。

● これは、特に"イレッサ"に限った事ではなく、他の抗がん剤や一般的な薬
  品にも適応される。
───────────────────────────────────
* アストラゼネカ社の試験及びコメントは、余りにも中途半端じゃないのか。
  それとも真摯に応えるという事よりも、矛先をかわしたかっただけなのか?

日本では…
───────────────────────────────────
2004年末の段階の数字が、厚労省から発表されている。

[イレッサを使用した推定累計患者数] 86,800人

[薬との関連が疑われる副作用の報告]  1,473人(約1.7%)

             [死 亡]    588人(約0.7%)

→ 「現時点では、本剤の使用する必要性に乏しく、引き続き、"適正使用"を
   進める事が、適当」

      "適正使用"=「赤字で"警告"」の部分を自分(医者、薬剤師、医
             療関係者)の中できちんと理解し、実際の治療及
             び処置を、正しく行う事であろう。
───────────────────────────────────
「"適正使用"により結果的に、悲しい結末(死亡)を減らす事は可能であろう」


【[推定]"東洋人の延命率"が高いのはこれだ!】

 これは、あくまでも「推論」として聞いていただきたいのだが・・・

  『「東洋人」と他の人種間で、際だって違う点はどこなのだろう?』

 それは・・・

「他の人種に比較して、"アルコール"が弱い」という特徴を有している。

 もしかすると、この辺りに"東洋人の延命率"が高いという秘密が隠されてい
るのではないか?と私は推測してみた。

 一般に、アルコールに対して、強いか弱いかは「ALDH(アルコール分解
酵素)」の型によるものが大きい。
───────────────────────────────────
○NN型…安定で正常な活性を有する「活性型」=アルコールに強い

○ND型…NN型の1/16の活性しかない「不活性型」=アルコールに弱い

○DD型…Nがないので、アルコール分解酵素の活性が、完全に失活した形
    「失活型」=アルコールに全く弱い

◆黒人(アフリカ系)…NN型 100% ND型 0% DD型 0%

◇白人(ヨーロッパ系)…NN型 100% ND型 0% DD型 0%

○日本人…NN型 56% ND型 40% DD型 4%

*その他の不活性型(失活型含む)の割合

…中国30〜50%、アジア14〜57%、北アメリカインディアン0〜7%
 南アメリカインディアン41〜69%
───────────────────────────────────
      「お酒に弱いのは、モンゴロイド(黄色人種)だけ」

 厚労省の研究班が、2004年12月24日、次のような発表をしている。
───────────────────────────────────
「アルコールを、アセトアルデヒドに分解する酵素が、
 
      たばこが含む"発がん物質も活性化"するのではないか」と分析

 これを拡大解釈し、

「たばこが含む発がん物質だけじゃなく、

         それ以外の発がん物質も活性化させるとしたら・・・」

                      どういう事になるだろう?
───────────────────────────────────
 そうなると当然・・・

 モンゴロイド(この場合、東洋人)よりも、アセトアルデヒドに分解する酵素
が活性化しているその他の人種の方が、同じ薬(イレッサ)を飲んでいたとして
も、再び「発がん」する可能性が高い。

 すなわち、「延命」という側面から考えると、東洋人以外の人々の方が"短命"
に終わってしまう確率が高いとは、言えないだろうか。

 かなり強引な論理の展開であると思うが、「東洋人に延命効果が高い」とい
う点を、少しは説明出来るような気がする。


【これからの"イレッサ"】

 "イレッサ"が、かなり有効度の高い「抗がん剤」であるという事は分かって
くれたと思う。これを「使用制限」する事は、全くの無効策である。

 それこそ、制限してしまうことによって、「延命」を阻止してしまう場合が
多く考えられる。

 今までもそうだが、我々の常識から言っても、劇的に効く薬というのはどう
しても「副作用」が強くなってしまう。それは、作用(効果大)に対する反作用
(人体の反応)がどうしても大きくなってしまうからだ。

 それだけに、基本に忠実に薬を処方し、治療をしなければならない。
 難しい事じゃない、何故ならそれも「イレッサの説明書」に記されている。
───────────────────────────────────
[重要な基本的注意(内容箇条書き)]
───────────────────────────────────
1.「急性肺障害」「間質性肺炎」などの"重篤な副作用"を起こさない対策

○ 臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に、
  胸部X線検査を行う事。

○ 必要に応じて、胸部CT検査、動脈血酸素分圧(Pao2)、肺胞気動脈血酸素
  分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行う。

○「急性肺障害」「間質性肺炎」等が疑われた場合には、直ちに本剤による治
 療を中止し、"ステロイド"(副腎皮質ホルモン)治療等の適切な処置を行う事。

2.本剤の副作用について、患者に十分に説明する(インフォームド・コンセ
  ントの徹底)。臨床症状(息切れ、呼吸困難、咳及び発熱等の有無)を十分
  に観察する(すなわち、"聴診をまめにする")。
───────────────────────────────────
  この他に、場合によっては「肝機能検査」の必要性なども説いている。

 2005年2月6日、下記のような報告が、厚労省より発表された。

「副作用により死亡者が出ている肺がん新薬イレッサ(輸入販売元アストラゼ
 ネカ)は6日、1月末現在で間質性肺炎などの肺障害による死亡者は173
 人にのぼったと発表した。
 
 厚生労働省が緊急対策を実施した昨年12月26日より後の死亡者は2人に
 とどまっており、対策の効果があらわた形。
 
 "聴診をまめにする"などの早期発見、"積極的な副腎皮質ホルモン投与"が重
 要とする治療指針が効を奏したようだ」

 偉そうにほざいているが、要は「イレッサの説明書」を守らせたに過ぎない。


 『「薬害」「副作用による死」「医療過誤に医療ミス」事は大きくなるが、

  実際は、守らなければならない基本的なことを怠ったがために、起こる』


   〜今回の件を、調べ、読み解くとそういう事実を痛切に感じる〜


*(このコラムは"有料メールマガジン"のsample版を加筆修正したモノです)


    **貴方はどう取る・・・ http://tinyurl.com/by8yn


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