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"日本の精神医療"が如何に遅れているか2 厚生省(当時)が、黙認していた"ある事"とは一体何の事なんだろう?しかし、 この事実が、「国としての精神医療対策」を遅らせた事は間違いないだろう。 【精神医療を遅らせた"元凶"】 "ある事"は、改正医療法が施行される2001(平成13)年3月1日まで、 1958(昭和33)から、約43年に渡り、継続されていました。"ある事"= 「精神科特例」と呼ばれていたモノです。 この「精神科特例」とは、医師数において、精神科の場合は、他科の約3分 の1、看護婦(師)数において、約3分の2で、良いとされていたモノです。ハ ッキリ言って、ひどい差別です。 この差別は、日本独自の"精神病院事情"を生み出してしまいます。外国、例 えば、イギリスやイタリアなどでは、精神病院は、「公立病院」が大半を占め るのに対して、「私立病院」が、圧倒的な比率を占めるのは、日本だけです。 こういう事情にしたのは、厚生省(当時)が、精神病院だけ特例措置(精神科 特例を含めて)を設けて、公的に「患者6人に付き、看護婦(師)1人で良い」と 定めていたからです。 つまり、厚生省(当時)は、"差別"を黙認することによって、「私立・精神病 院」が経営をやりやすくするために、現状のままに、放っておいたのです。こ れによって、日本の"いびつな精神病院比率"が、加速されました。 この差別は、"別の悪い側面"も、精神医療に植え付けました。それは、上記 のような形で、精神病院を経営し、少ない医師と少ない看護婦(師)でやってい こうとすれば、 「患者に、"全てのしわ寄せ"が来るのは、当然の事でした」 患者には、次のような所業がなされました。「治療を目的とせず、管理を目 的とした薬物投与による"沈静化"」「うるさい患者の"隔離"」「入院患者数を 柔軟に調整する経営目的のため、個室ではなく、畳を敷いた大部屋で、患者を 処遇する事」「集団行動の強制」「患者に賃金を払わず、利潤全て病院オーナ ーの手元に入る不払い労働の強制」「患者への暴力」・・・etc。 まるで、患者は「人間にあらず」というような悪行の数々です。「患者への 暴力」については、改正精神保健福祉法(2002.4施行)などの法律を改正するこ とにより、防ごうとしていますが、事態は、収束傾向に、ありません。 ところで、2001(平成13)年の改正医療法によって、どれだけ「精神科 特例」が是正されたかと言うと・・・ ─────────────────────────────────── [一般の精神病院] ─────────────────────────────────── ●医師数 48:1 (改正前と同じ) ●看護師数 6:1 → 4:1 に変更。 ─────────────────────────────────── [大学病院、及び、100床以上の総合病院精神科病床] ─────────────────────────────────── ●医師数 16:1(48:1)→ 漸く、一般病床並み ●看護師数 3:1(6:1)→ 漸く、一般病床並み ─────────────────────────────────── 公的な病院では、是正されてきたが、この数字を見ると未だに「私立」を優 遇している。"精神医療"は、一般医療に比べて、「チームワーク」を要求され る。本来であれば、医師の数も、看護師の数も、一般病床より、多くなければ ならない。 その他にも、医療スタッフとして、医師や看護師とは、別の立場で、患者の 心を癒す「ソーシャルワーカー」や「臨床心理士」なども、"精神医療"におい ては、必要不可欠な存在なのである。 ただ、「ソーシャルワーカー」が病院内で仕事をしても、それが医療費と見 なされず、事実上、"診療報酬費"が支払われない。そのため、利潤を上げなけ ればならない「私立」精神病院の経営者は、採用をしないとの事情がある。 だが、「私立」の精神病院も、法律にあぐらをかくだけじゃなく、良質な医 療スタッフを本気で揃え、本当の"精神医療"を目指して欲しい。もし、患者の 顔が、札束に見えている内は、「心の治療」を行なうのは、無理だと思う。直 ぐ、他科に、変わった方が良い。 「心の病が、急増している現代。 これ以上、[私立特権]を許すと、"精神医療"は進まない」 *来週は、「精神科医の辛い現状とリエゾン精神医療」を中心にお送りします。 ─────────────────────────────────── 私も、こんがらがるような最近の「心の病」における科目です。 参考のために、是非、確認しながら、お読み下さい。 ─────────────────────────────────── 【再掲載】"心の病"に対する現状を認識していただくために・・・ ─────────────────────────────────── 「精神科」「神経科」「精神神経科」「神経内科」「心療内科」 紛らわしいこれらの科目を、正確に「区別」することが出来るだろうか?? ─────────────────────────────────── ■「精神科」「神経科」「精神神経科」 ─────────────────────────────────── 主に、「心の病」を扱う科。いわゆる精神病(分裂病、躁鬱病)を始め、スト レスによるノイローゼ、心身症、不眠症など。 これらは、現代医学では、通常、大脳・神経系における様々な検査(CT、 MRI、脳血管撮影、脳波、SPECT[核医学検査の一つ]、筋電図、血液) 及び、神経学的診察上、明らかな異常を認められないモノ。 ─────────────────────────────────── ▲「神経内科」 ─────────────────────────────────── 神経系(大脳、小脳、脊髄、末梢神経、筋肉)に炎症、変性、腫瘍、血管障害、 代謝、ホルモンなどの異常により、生ずる病気を扱う。 病気としては、脳卒中(脳梗塞、脳出血、脳塞栓)、脳炎、てんかん、椎間板 ヘルニアなどによる脊髄の障害、パーキンソン病、脳・脊髄腫瘍の診断、多 発性筋炎、筋ジストロフィー症、多発性神経炎 etc…。 ─────────────────────────────────── ●「心療内科」 ─────────────────────────────────── ストレスと関連する病気(心身症)を扱う。病気の発症過程に、心理・社会的 要素による「種々のストレス」が深く関与して生じる内科的病気(胃潰瘍、ぜ んそく、狭心症、高血圧症、過敏性大腸症候群など)を治療する。 「精神科」などとの違いは、精神的な問題が、不安などの形で、心理的な心 の面に強く現れれば、"精神科の範疇"であるが、動悸がしたり、お腹の具合 が悪くなったり(下痢、腹痛)、高血圧、ぜんそくなど身体の方(内科的病気) に強く出れば、"心療内科の範疇"であると言える。 だが、厳密に、これらを区別することは、困難であり、実際に"ストレス"に 関する病気であれば、「心療内科」「精神科」「神経科」「精神神経科」を 選択することになると思う。 名前的には「心療内科」が一番、行きやすいかもしれない。最近では、"スト レス"そのものに焦点を当てた「ストレスケア外来」などという患者には、取 っ付きやすい名目を設置している病院もある。 ─────────────────────────────────── **心の荷物を・・・ http://tinyurl.com/be4ol ───────────────────────────────────
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