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"日本の精神医療"が如何に遅れているか3 "精神医療"の最終回。今回は、精神科医の置かれている厳しい現状と、彼ら が、他の一般化の医師と、如何に連携しながら、診察を行うべきであるか…。 【"総合病院"の役割とは?】 1998(平成10)年4月までは、「総合病院」という名称が、医療法にお いて、明確に規定されていた。 ─────────────────────────────────── 第4条 病院であって、患者百人以上の収容施設を有し、その診療科名中に、 内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻咽喉科を含み、かつ第22条 各号に規定する施設を有するものは、その都道府県知事の承認を得 て、"総合病院"と称することが出来る。 ─────────────────────────────────── 現在は、医療法上、"総合病院"は存在しない。しかし、「総合的な医療を提 供する病院」としての"総合病院"は存続している。しかも、以前より、全人的 (知・情・意の完全に調和した)な医療が求められる中で、益々その重要性は、 増している。 一般医療の中においては、高齢化や医療の高度化に伴い、せん妄(錯覚や幻覚 を伴う軽度の意識障害)や抑うつなどの精神症状を併発する患者が増加しており、 地域社会においても、うつ病やパニック障害など他の身体疾患との鑑別を行な った上で、治療を継続することが、望ましい精神疾患が増えている。 従来の"精神医療"の目的は、「精神障害者の収容」であり、"精神病院"が主 戦場であった。けれど、今日では「統合失調症」さえも治りうる病気とされて おり、とりわけ、"早期の対応・治療"が、予後に良い影響を与えると言われる。 その上で、「施設への収容」が主目標ではなく、居住地域での生活を続けら れるように、支援することが「統合失調症」を病んだ人達への対応の最終目標 になっている。 すなわち、"総合病院"内に、精神科が存在すれば、受診のしやすさから、早 期の「統合失調症」に対応が可能であり、予後の改善に、寄与出来るものと考 えられる。 このように、"総合病院"に、精神科が設置されていることは、全人的な医療 の観点からも、精神科治療の時代的な推移という面からも、極めて重要なこと であることは、間違いない。 他の治療科と同様に、"総合病院"における精神科と"専門病院"である精神科 病院が、機能分担と連携を行ないつつ、これからの"精神医療"を構築して行く ことが、肝要である。 一般医療においては、医療経済的要請もあって、「短期入院化」が求められ ている。一方、"精神医療"の世界的趨勢は、「脱施設化」と「総合病院精神科」 における「短期入院化」が主流となっている。 つまり・・・ 「"入院重視"から、"外来重視"に、移行して来たということだ」 【"精神医療"の現状】 1でも、少し書いたが、日本の"精神医療"を特徴づけるものは、WHOから の指摘にもあるように、「精神病床数の多さ」と「在院日数の長さ」である。 この事実は、日本の"精神医療"が依然として、「入院医療が主体」で、地域精 神医療の展開が、未だ、不十分であることを示している。 地方に行けば行くほど、精神保健福祉に関する施設が、著しく少なく、精神 障害者が、地域で生活するための受け皿は、量的にも、質的にも不足している。 "総合病院"精神科の現状は、前章のような理由で、精神科の外来のみを有す る病院が、増加してきている。精神病床を有する総合病院は少なく、"総合病 院"全体の21%に、止まっている。 精神病床において、"総合病院"精神病床の占める割合は少なく、精神病床全 体のわずか5.6%にすぎない。一方で、"総合病院"精神病床では、100床 以上の大規模な精神病床を有するところが、約20%と多い。 このために、単科精神病院の色彩を有した"総合病院"精神科も、多く存在し ている。その反面、二次医療圏(患者を入院させて、一般的な医療を行なう圏 域)において、"総合病院"精神科の存在しない地域も、37%存在する。 一般的に、単科精神病院も含めて、都会に集中しがちである。都会は、飽和 状態になっているが、そこから、一歩外に出ると、精神科医も病院も、激減し てしまうという状況が、存在する。 精神科医の質も、かなりのバラツキがある。この原因としては、研修時の教 育不足が、指摘されている。すなわち、彼らを教育する十分な数の指導医が、 いない。そのため、患者への対応などを含めた総合的なカリキュラムが不十分 なまま、いきなり、精神科医になってしまうことが、多い。 前記に戻ると、"総合病院"精神科と単科精神病院の役割分担については、前 者は、主に、発病初期や急性期の治療、身体合併症治療を担当することが多い。 平均在院日数は、精神科病院に比べて、はるかに短い。 しかし、精神科救急や身体合併症治療に、十分に対応し得ないところも多く、 トータルで捉えると、"総合病院"精神科と単科精神病院双方の十分な役割が、 なされていないのが、現状である。 「縄張り意識を捨て、もっと"地域の医療"として、貢献すべきである」 【"総合病院"精神科の任務とは?】 ─────────────────────────────────── 1.一般医療における役割(リエゾン・コンサルテーション精神医療) ─────────────────────────────────── リエゾン・コンサルテーション精神医療とは、端的に言うと、他科の病 気で入院した患者を、精神科医が、協力し、"精神面のケア"を行なうこ とである。 一般医療の場面においては、疾病の受容過程や治療環境とのストレスか ら生ずる不安・怒り・抑うつなどの発生、術後のせん妄や薬剤起因性の 精神障害など治療に続発する精神症状、症状性・器質性の精神疾患、更 には、一般医療の受診以前より、有していた神経症、うつ病、統合失調 症などの顕在化や再燃など様々な精神症状や心理的問題が出現する。 こうした精神症状や心理的問題への精神医学的対応は、全人的医療とい う観点からも、また、一般医療の質を高めるという意味からも、更に、 一般病棟の平均在院日数を短縮するという医療経済的な見方からも、非 常に重要である。 ─────────────────────────────────── 2.プライマリ・ケア(1番目の基本的な診療)における役割 ─────────────────────────────────── 精神疾患を有する患者が、最初は、一般医を訪れたり、不定愁訴(明白な 器質的疾患が見られないのに、様々な自覚症状を訴える状態)を有する 患者が、精神疾患の初期症状であることも、多い。 プライマリ・ケアを担当する診療所や病院における一般科医師との連携 や一般科医師への教育、総合診療科への関与なども、"総合病院"精神科 医の役割である。 ─────────────────────────────────── 3.自殺企図者を始めとした救命救急医療における関わり ─────────────────────────────────── 救命救急センターを受診する患者の2割は、自殺企図者を始めとして、 精神科的問題を有しているというデータがある。そのために、リエゾン ・コンサルテーション的意義のみならず、精神医療へのアクセスという 観点からも、救命救急医療への精神科医の関与は、重要である。 ─────────────────────────────────── 4.高齢者医療への関わり ─────────────────────────────────── 人口の高齢化に伴い、高齢患者が、増加している。高齢患者は、発病や 入院により、せん妄、うつ等を起こしやすく、また、認知(痴呆)の潜在 も、しばしば見られるため、精神科医の関与が、必要である。 ─────────────────────────────────── 5.リハビリテーション医療への関わり ─────────────────────────────────── リハビリテーションの成否を左右する因子には、本人の意欲、感情の状 態などが、大きく関わっている。そのため、リハビリテーション開始時、 および、中途での心理的、精神医学的評価・支援も、求められている。 ─────────────────────────────────── 6.緩和ケア医療 ─────────────────────────────────── 終末期がん患者に対しては、疼痛のコントロールと心理的援助が、主と なるが、心理的援助に関しては、精神科医、臨床心理士などの関与すべ き分野である。 緩和ケア医療の普及に伴い、精神科医が関わる必要性は、益々増大して 行くものと思われる。 ─────────────────────────────────── 7.臓器移植医療、および、その他の高度先進的医療への関わり ─────────────────────────────────── 臓器移植医療においては、ドナー、レシピエントの双方に対する精神的 なサポートが必要であり、臓器移植医療が行なわれるような高機能総合 病院では、こうした関わりも求められている。 この他、遺伝子医療を始めとした高度先進的医療が、次々に展開されて いる。そこでは、生命倫理に対する判断が、常に求められる。一方、そ うした治療を受ける患者は、強い精神心理的ストレスを受けるものと、 考えられる。 そのために、心理的評価、精神的援助の両面で、臨床心理士、リエゾン 専門看護師、精神科医などの関与が、必要になってくる。 ─────────────────────────────────── 「最後に、非常に、重要なことがある」 それは・・・ 病院に勤めるスタッフ自身が、こころの健康を損なってしまうことも多い。 精神保健の専門家として、自病院スタッフに対する「こころの健康相談」や こころの健康に留意した勤務体系の作成への関与などを通じて、精神科医自ら が、勤める病院のスタッフのこころの健康保持にも、努める必要がある。 また、当の本人="総合病院精神科医"は、無床でも有床でも、非常に多忙で、 過剰労働に陥ってしまうケースが多い。こころの専門家として、自分達が、疲 弊し、「燃え尽き」てしまわないよう、何より自身のメンタル・ヘルスに、十 分留意する必要がある。 「精神科医といえども、一人の"人間"である。くれぐれも御身を大切に」 ─────────────────────────────────── 私も、こんがらがるような最近の「心の病」における科目です。 参考のために、是非、確認しながら、お読み下さい。 ─────────────────────────────────── 【再掲載】"心の病"に対する現状を認識していただくために・・・ ─────────────────────────────────── 「精神科」「神経科」「精神神経科」「神経内科」「心療内科」 紛らわしいこれらの科目を、正確に「区別」することが出来るだろうか?? ─────────────────────────────────── ■「精神科」「神経科」「精神神経科」 ─────────────────────────────────── 主に、「心の病」を扱う科。いわゆる精神病(分裂病、躁鬱病)を始め、スト レスによるノイローゼ、心身症、不眠症など。 これらは、現代医学では、通常、大脳・神経系における様々な検査(CT、 MRI、脳血管撮影、脳波、SPECT[核医学検査の一つ]、筋電図、血液) 及び、神経学的診察上、明らかな異常を認められないモノ。 ─────────────────────────────────── ▲「神経内科」 ─────────────────────────────────── 神経系(大脳、小脳、脊髄、末梢神経、筋肉)に炎症、変性、腫瘍、血管障害、 代謝、ホルモンなどの異常により、生ずる病気を扱う。 病気としては、脳卒中(脳梗塞、脳出血、脳塞栓)、脳炎、てんかん、椎間板 ヘルニアなどによる脊髄の障害、パーキンソン病、脳・脊髄腫瘍の診断、多 発性筋炎、筋ジストロフィー症、多発性神経炎 etc…。 ─────────────────────────────────── ●「心療内科」 ─────────────────────────────────── ストレスと関連する病気(心身症)を扱う。病気の発症過程に、心理・社会的 要素による「種々のストレス」が深く関与して生じる内科的病気(胃潰瘍、ぜ んそく、狭心症、高血圧症、過敏性大腸症候群など)を治療する。 「精神科」などとの違いは、精神的な問題が、不安などの形で、心理的な心 の面に強く現れれば、"精神科の範疇"であるが、動悸がしたり、お腹の具合 が悪くなったり(下痢、腹痛)、高血圧、ぜんそくなど身体の方(内科的病気) に強く出れば、"心療内科の範疇"であると言える。 だが、厳密に、これらを区別することは、困難であり、実際に"ストレス"に 関する病気であれば、「心療内科」「精神科」「神経科」「精神神経科」を 選択することになると思う。 名前的には「心療内科」が一番、行きやすいかもしれない。最近では、"スト レス"そのものに焦点を当てた「ストレスケア外来」などという患者には、取 っ付きやすい名目を設置している病院もある。 ─────────────────────────────────── **あまりの現状に・・・ http://tinyurl.com/9bzoc
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