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"癒し"を与えてくれているのか?2 先週は「アニマル・セラピー」の一般的な概念を取り上げました。今週は、 少しツッコミ、その"歴史"および功罪を含めた"問題点"を探って行きます。 [先週分→] http://www.unlimit517.co.jp/ana67.htm 【"アニマル・セラピー"の歴史】 "アニマル・セラピー"の中で、最も古い歴史を持っているのが『乗馬療法』 です。つまり、人との付き合いが長い、"馬に乗ること"によって、癒しを求め るという療法です。 起源は、古代ローマ帝国時代にまで、さかのぼります。この時代に、戦場で 傷ついた"兵士達のリハビリ"に、馬が用いられたとされています。 近世になってからは・・・ 1875年、フランスのパリで、麻痺を伴う神経障害に「乗馬が有効な療法」 であると報告されている。それ以来、治療の一つとして、用いられ、現在では、 "完璧な治療システム"となり、NARHA(北米障害者乗馬協会)を始め、イギ リス、ドイツ、オーストラリアなど、世界各国で、積極的に治療に生かされて います。 日本でも・・・ 「日本障害者乗馬協会」「日本乗馬療法協会」などが活動しています。 何故、『乗馬療法(ホース・セラピー)』が良いのかというと、馬の歩くリズ ムや振動が、脳やバランスを取ろうとする体の筋力に、刺激を与えてくれるか らです。 また、馬は、相手の人間について、どんな人であるか、良く観察している。 そのために、人間の側が、心を開いて接すれば、馬の側も、それに応えてくれ るという特性を有しています。 病院で、"アニマル・セラピー"を最初に取り入れたのは… 1792年、イギリスのヨークシャー州に設立された「ヨーク保養所」。 この保養所によって、当時の"癲狂院"(てんきょういん=精神病院)が、改革 されました。その改革とは、当時では、当たり前だった拘束具を使用すること を止め、むごい薬物も禁じ、監獄そっくりの格子を外して、二重窓にしました。 (313年後 →日本では、未だに、行なわれているところも・・・)。 それに加えて・・・ 中庭には、「ウサギ、アヒル、にわとりなどを放し飼い」にし、その世話を、 患者達に、任せました。既に、この時、イギリスのヨーク保養所では、強制力 によって、"精神病は治らない"という概念があったのだと、推測されます。 "近代的看護法"の創始者も・・・ フローレンス・ナイチンゲールは、動物、中でも、"ペットの重要な役割"を 早くから見抜き、1859年、次のように記しています。 「小さなペットは、病人、とりわけ、長期に渡る慢性病患者にとって、素晴 らしい仲間になる。かごの小鳥は、同じく何年間も、閉じ込められている 病人の唯一の楽しみだ。彼が、動物に餌を与えたり、身の回りの世話をす ることが出来れば、励まされるに違いない」 日本では・・・ 1920年頃に完成したといわれている「森田療法」において"動物の世話" が、用いられている。 森田正馬が創案したこの療法は、「自然をそのまま受け入れる」ということ を体得するために、共同作業、陶芸、食事の準備・片付けなどの他に、「動物 の飼育」「植物の栽培」などが、行なわれていました。 ─────────────────────────────────── 1942年 アメリカ・ニューヨーク州のボーリング空軍療養復帰病院 負傷や精神的問題を抱えた退役軍人に対して、リハビリテーシ ョンプログラムの一環として、シェパード(犬)が使われた。 1960年代 アメリカの心理学者・レビンソン博士が、人間、特に、子供 にとって、ペットとの接触が、治療的な利益を与えることを、 世界で初めて、詳細に報告した。 1970年代 アメリカのオハイオ州立大医学部・コーソン博士とエリザベ ス夫人が、世界で初めて"アニマル・セラピー"を系統的に評 価することに成功。 1980年 アメリカのフリードマン博士らが発表した研究報告で、世界が 震撼させられた。その発表とは、「心筋梗塞の発作後、1年経 った患者の延命率を調べると、ペットを飼っている患者の方が、 3倍も生存率が高いことが分かった」というもの。 最近でも、イギリスのマクニクラス博士が「ペットと一緒に育 った子供は、健康で学校の病気欠席が少ない。猫や犬と多く接 した子供は、喘息に罹りにくい」という研究発表をしている。 ─────────────────────────────────── "アニマル・セラピー"の最新版は・・・ ─────────────────────────────────── 1972年、アメリカのフロリダ州立国際大・スミス博士が、知的障害を持 つ弟に、イルカが優しく接するのを、発見したことがきっかけで研究を始める。 これから、「イルカ・セラピー」が生み出されます。 この「イルカ・セラピー」を簡単に説明すると、イルカと一緒に泳いだり、 遊んだり、触れたりすることによって、自閉症やうつ病に対して、心理的治療 効果が、期待出来るという療法です。 しかし、イルカのパワーは、科学的に証明することは難しく、明確な証拠を 見つけ出すことも、困難である。だから、これは、あくまで仮説に過ぎないの だが、「イルカは超音波を使って、人間の脈拍、血圧を認知し、健常者と障害 者を区別出来、しかも、かばうことさえも出来る」という。 そういう優秀な能力を、例え、科学的には証明出来なくても、客観的に見て、 この療法によって、イルカが、ヒトに「癒しを与えている」ことに、異論を挟 む余地はないだろう。 こうして、"アニマル・セラピー"の歴史を見て来ると、「偶然が生んだ産物」 という言い方も出来るかも知れない。だが、そこには、患者のことを本当に思 い、悩んでいる研究者や医療従事者の熱い眼差しが、充分に感じられる。 【"アニマル・セラピー"の功罪と問題点】 この章では、"アニマル・セラピー"による「功(利点)と罪(問題点含む)」を、 様々な視点から、分かりやすく箇条書きにして、取り上げて行きたいと思う。 ─────────────────────────────────── 1."アニマル・セラピー"の功(利点) ─────────────────────────────────── ■身体的・生理的な効果 ◎病気の回復 ◎血圧やコレステロール値の低下 ◎神経筋肉組織のリハビリ(乗馬療法) ■心理的な効果 ◎リラックス、くつろぎ感を増し、不安やストレスを減らす。 ◎責任感、心理的自立を促す。 ◎達成感(乗馬療法) ■社会的な効果 ◎人間関係を結ぶきっかけとなる。 ◎集団のまとまり、協力関係の推進 ◎身体的、経済的な自立を促す(盲導犬、介助犬、聴導犬など) ─────────────────────────────────── 2."アニマル・セラピー"の罪(問題点含む) ─────────────────────────────────── ×"身体疾患"を悪くしてしまう場合 ─────────────────────────────────── 免疫機能が低下している患者に対しては、「動物からの感染を防ぐ」必要が ある。特に、無菌室の患者には難しい。 動物達の健康状態や雑菌検査を厳しく行ない、注意深いチェックが必要であ る。動物関連各種のアレルギーに対しては、事前に「アレルギー反応検査」 を行ない、その結果に対応して、行動することが肝要である。 ─────────────────────────────────── ×"精神疾患"を悪くしてしまう場合 ─────────────────────────────────── 極めて、精神疾患が悪化している最中(極期)の患者に対しては、動物やボラ ンティアに触れ合うこと自体が、重荷になる。そして、どうしても、触れ合 うことが出来なければならないと自分を追い込んでしまい、却って、新たな ストレスが生まれてしまう場合が、考えられる。 ─────────────────────────────────── ×動物が嫌いな患者の場合 ─────────────────────────────────── "嫌い"と言っても、嫌いである度合いは、人様ざまである。特に、動物に、 幼い頃、噛まれたなどのトラウマを持っているヒトに対して、しつこく動物 に触れ合わせるようにしようとすると、人間関係自体を悪くしてしまう。も しくは、それ以外のもの(主に精神的な部分)も、悪化してしまう場合が…。 動物恐怖症(強迫神経症)の患者は、理性に反し、動物を見るだけで、脂汗が 流れ出し、吐き気やふるえまで起こり、ひどい場合は、パニック症状に陥っ てしまう。 人に応じて、それぞれ対応の仕方が違うので、その人に適応した対処方法を、 考えて行かなければならない。事前の調査も、充分にするべきである。 ─────────────────────────────────── ×動物に妄想を抱く患者の場合 ─────────────────────────────────── 「動物が患者自身の悪口を言っている」「動物が患者の心を見透せる」 「自分(患者自身)は動物の心を全て分かる」「動物が話している」・・・ などの多様な妄想を抱く患者にとって、動物自体が、非常に気持ちの悪い存 在となって、暴力行為や自殺、逸脱(迷惑)行為にまで、発展する可能性があ るので、注意して、セラピーを、進めて行く必要がある。 ─────────────────────────────────── ×動物に危害を加える患者の場合 ─────────────────────────────────── "アニマル・セラピー"では、動物もストレスを感じ、精神疾患に罹る動物ま でいる。確かに、患者が、動物の扱いが、慣れていないがゆえに、動物を傷 つけてしまう場合はある。 しかし、動物に対しての暴力行為、人間に対してと同じ様な各種虐待を与え る患者に関しては、"アニマル・セラピー"として、動物を近づけることは、 飼い主としても、"動物虐待"をしていることと同じになるので、動物も生き 物として、活動を考えるべきである。 ─────────────────────────────────── 上に記したように、"アニマル・セラピー"という治療が、全てに対して、万 全な対策という訳ではない。大切なのは、あくまでも「治療の一つ」の選択肢 として、考慮して行かなければならないということだ。 これは、施設などで、人に癒しを与えるために、"アニマル・セラピー"を施 す時も同様である。事前調査や検査をきっちりして、お互いに、嫌な思いをし ないように、するべきである。 "アニマル・セラピー"は施す側が、「動物嫌い」に、最大限の配慮をした方 が良い。人生色々、人間色々、動物も色々、考えも色々なのだから…。 こんな事も・・・ 「1匹の犬が猫が、会話を生み出し、家族に絆を取り戻させる事がある。 それも立派な"アニマル・セラピー"なのではないか」 **幅広い関わりを考える・・・ http://tinyurl.com/dbr6l
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