毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門

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やさしく読み解く入門」


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本当は認知されていない「認知症」の実態。
貴方に忍び寄る恐怖とは2



 現在、認知症の人は、160万人いるとも言われています。これが、団塊の
世代が、高齢者となる2015年には、250万人に達すると予測されている。


【"認知症"の原因となる病気とは?】

 "認知症"は、脳の疾患部位によって、3種類(アルツハイマー、梗塞、出血)
に分類され、認知症状を引き起こす原因は、100以上あり、認知症の症状は、
多岐に渡ります。このため、適切なケアも、個人によって異なります。

 主な分類について説明すると・・・
───────────────────────────────────
 ●アルツハイマー型痴呆(認知症)
───────────────────────────────────
  70歳以降に、発病することが多く、原因は、まだ不明ですが、脳の神経
  細胞が、変性・脱落し、脳に萎縮が起こってきます。初期には、周囲に無
  関心になったり、うつ状態になることがありますが、次第に、物忘れが目
  立ち、様々な行動障害が、出現してきます。
───────────────────────────────────
 ●脳血管性痴呆(認知症)
───────────────────────────────────
  脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、出血を起こして(脳出血)、脳の組織が、
  破壊されることにより、認知症になるもので、手足の麻痺や言語障害など
  身体的な障害を伴うことが、多いものです。
───────────────────────────────────

 どちらの認知症についても、単に、脳の障害だけが問題ではなく、身体的、
 精神的、環境的要因が、複雑に絡み合って、症状が作られて行きます。


【認知症患者の"思い"を理解する】

 "認知症"のことが、世間一般では、まだまだ理解されていない部分が多いと
思います。"認知症"に対する意識や対応は、非常に、画一的です。

 例えば、前項で少し説明したように、"認知症"と呼ばれている人の大半は、
疾患がどの部分なのか、どのレベルの"認知症"であるか、明確でありません。

 症状に伴う行動や言動には、「動機」や「理由」があるにもかかわらず、全
て"異常行動"として、扱われてしまいます。"認知症"のもたらす症状を、周囲
が正しく理解し、対応することが、必要です。

 余り一般に、アピールされていませんが、本年度は厚労省が定めた「認知症
を知る1年」だったのだそうです。厚労省も、もう少し、きちんと告知した方
が、良いように思います。

 まず、"認知症"を正しく理解するには、「患者の思い」を感じることが、肝
要です。次に、一般の人によくありがちな「認知症の人への誤解」と患者側か
ら「認知症の人の気持ち」を、取り上げて行きます。
───────────────────────────────────
           〜"認知症"の人への誤解〜
───────────────────────────────────
■何も、分からない人である。

■何を話しても、通じない。

■うそをついている。

■意地悪をしている。

■嫌がらせをしている。

■芝居をしている。

■とぼけている。

■人を困らせるのを、楽しみにしている。         など
───────────────────────────────────
            〜"認知症"の人の気持ち〜
───────────────────────────────────
□記憶を失っていく自分に、不安を感じている。

□プライドが傷つきやすくなっている。

□感情が鋭敏になっている。

□自分の思い通りに、振る舞おうとする。

□介護する人が、不安や怒りを持っているとその心に反応する。

□自分の悩み、不安、怒りを言葉で表すことが出来ず、行動障害として表す。

□過去と現実を混同している。

□「生きたい」という願望がある。

□面倒なことを避けようとする。

□安心出来る人が、傍にいて欲しいと思う。        など
───────────────────────────────────


【"認知症"ケアのポイントとは?】

[患者に対するケアのポイント]
───────────────────────────────────
◎人生の終盤を、懸命に生きている"一人の人間"として尊重する。
───────────────────────────────────
 "認知症"の人は、何も分からないのではなく、何かおかしいと思いながら、
 懸命に病気と闘っています。また、一人の人間として、生きてきた人生の先
 輩でもあり、その人の性格やこれまで暮らしてきた人生を尊重して、接する
 ことが大切です。
───────────────────────────────────
◎相手の世界に、合わせる。
───────────────────────────────────
 "認知症"の人の思っていること、感じていることを、否定するとますます混
 乱したり、嫌な人と思われたりして、拒絶され、却って、介護が困難になり
 ます。相手の世界に、合わせることが大切です。
───────────────────────────────────
◎相手のリズムに、合わせる。
───────────────────────────────────
 "認知症"になると理解力が低下してくるので、動作が緩慢になりがちです。
 焦って、せかせかするよりも、ゆっくり落ち着いて、相手のペースに、合わ
 せる努力をしましょう。
───────────────────────────────────
◎心は生きている。
───────────────────────────────────
 "認知症"の人は、自分の言ったことや聞いたことを、直ぐ忘れてしまいます
 が、感情、情緒は保たれており、周りの気配に敏感なことがあります。叱ら
 れても、叱られた内容は忘れてしまいますが、叱られたという感情は残る。
───────────────────────────────────
◎残された能力を生かす。
───────────────────────────────────
 "認知症"は、進行していく病気ですが、全てが失われていくわけではありま
 せん。失われた能力を残念がるよりも、出来そうなことを、積極的に働きか
 けましょう。
───────────────────────────────────
◎コミュニケーションのポイント
───────────────────────────────────
 ・普段使っている分かりやすい、普通の言葉で話す。

 ・一つ一つゆっくり話す。一度に、いくつものことを話すと、理解出来ない
  で、混乱してしまう。

 ・相手の立場に立って、丁寧に、話す。

 ・言葉による説明でなく、表情、動作、仕草を交えて伝える。

 ・目と目を合わせて、話しかける。
───────────────────────────────────
◎"認知症"を改善する具体的な方法
───────────────────────────────────
 ・思い出のアルバムや着ていた着物、遊び道具、使っていた生活道具など、
  出来るだけ、実物に触れてもらいながら、当時のことを、語ってもらう。

 ・犬や猫、九官鳥などのペットに触れることにより、心を癒す(これは本人の
  得手不得手もあるので、その辺りを十分に考慮した上で)。

 ・リラックスし、好きな歌を歌ったり、聞いたりして、楽しむ。

 ・ラジオ体操等の運動や散歩などを、楽しむ(本人の特性を考慮の上)。

 ・お花を育てたり、野菜作り等で、園芸を楽しむ。

 ・お化粧や身だしなみで、おしゃれをする。

 ・絵を描いたり、物を造ったりする。

 ・漢字の書き取りや簡単な計算問題などをやってみる(出来るところから)。

 ・孫と遊ぶ。友人と会話する(危険な事をしない限り、好きにさせる)。
              
                              など


 *つまり、無理強いせず、"認知症"に罹る前に、本人が好きだったことを思
  い出し、リラックスして、それらを楽しんでもらうということが、一番良
  い方法であると思う。

───────────────────────────────────

[介護の重要なポイント]
───────────────────────────────────
            〜イライラしないために〜
───────────────────────────────────
◎一人で抱え込まない。
───────────────────────────────────
 自分が倒れてまで介護したり、家族関係が崩壊してまで、頑張るということ
 は、望ましいことではありません。家族の暮らしがあってこその介護です。
 介護サービスもためらわずに、利用しましょう。
───────────────────────────────────
◎完璧を目指さない。
───────────────────────────────────
 介護していれば、苛立ち、腹の立つこともあるのが、普通です。介護してい
 ることが、とりもなおさず愛情です。自分を追いつめず、無理のない介護を
 心掛けましょう。

 《認知症介護で、何が大変かというと》

  ・同じことを、何度も何度も聞かされる。

  ・目を離せない大変さ

  ・自分のペースで、介護出来ない。

  ・「ありがとう」と感謝されない。

  ・他人の前ではしっかり振る舞うために、介護の苦労が認められにくい。

  ・夜中に起こされる。

  ・忙しい時に限って、起こされる。
───────────────────────────────────
◎隣近所にも隠さない。
───────────────────────────────────
 "認知症"は病気ですから、"認知症"の人がいることを隠そうとせず、理解し
 てもらい、隣近所にも、何かあった時には、協力をお願いしましょう。
───────────────────────────────────
◎仲間を見つける。
───────────────────────────────────
 他の介護家族と交流することによって、自分だけが苦労しているのではない
 と知り、励まされることがあります。相談出来る仲間を見つけましょう。
───────────────────────────────────
◎自分を大切にする。
───────────────────────────────────
 時には、自分のためにお金を使ったり、美味しい物を食べたり、映画を観た
 りして、リフレッシュするための時間を持ち、自分を大切にしましょう。
───────────────────────────────────

 張りつめた糸は、切れやすい。もし、患者の介護のために、自分が死んでし
まったら、どうなってしまいます?患者は、貴方という支柱を失い、生きてい
く糧がなくなってしまいます。介護する貴方が、無理をし過ぎてはいけない。


「我々の気付いていないことが、たくさんある。少しでも理解出来れば…」

   認知症を認知する1 http://www.unlimit517.co.jp/ana71.htm
   認知症を認知する3 http://www.unlimit517.co.jp/ana73.htm

 *来週は、貴方も人ごとではない。"若年認知症の今"を取り上げます。


   **まず、理解すること・・・ http://tinyurl.com/759f5


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