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一体、我らが"地球"に何が起こっているのか?2 現地では、2回目の死骸回収作業が行われた。雪が少し溶け、そこにはおび ただしい数の鳥たちの亡骸が、再び、浮かび上がっているそうです。なんで…。 [先週3/9号の記事] → http://www.unlimit517.co.jp/ana88.htm [今週3/12号の緊急レポ] → http://www.unlimit517.co.jp/medi181.htm 【油汚染鳥〜"ロシア側"の言い分】 今回の「知床半島沿岸の海鳥大量死問題」に対する"ロシア側"の言い分を、 順不同で、取り上げて行きたいと思います。 ─────────────────────────────────── 1.ロシア非常事態省サハリン総局 ─────────────────────────────────── ●昨年、12月に、サハリン北東部ノグリキ付近で発生した「地下パイプ ライン原油漏出事故」が原因ではないかという、北海道からの問い合わ せに対して・・・ 事故は、昨年12月13日に発生。原油27トンが地上に漏れ出した。 ●上記の質問に対する回答書には、オホーツク海に接し、当時は、凍結し ていたナビリ湾の氷上などから、原油25トンを回収。周辺から、汚染 された雪氷を除去、天然資源利用監督庁が、12月27日までに、湾口 付近を検査し、水中も確認した結果、 「油の兆候は見られなかった」との事である。 ─────────────────────────────────── 2.ロシア天然資源省 ─────────────────────────────────── ●死因は調査中で確たる事は言えない。日本側の調査通りならば、「海難 事故による油流出」が考えられる。 ●サハリン北東部の大陸棚エネルギー開発では、大量の油漏れはなく、昨 年11月のタンカー座礁事故でも、油漏れは報告されていない。 ●可能性としては、「漁船が海上で給油する際にトラブルが発生」したと か、「(廃油や化学物質の)不法投棄」「感染症」などが考えられる。 ●北海道のオホーツク海側沖で、死に、宗谷暖流(宗谷海峡からオホーツ ク海側沖を流れる)に乗って、知床や国後に流れてきた。この海域には、 冬場に南下した海鳥が密集して、生息している。 もし、サハリン東岸が、現場ならば、死骸は択捉島以北に流れるはず。 ●今後の原因究明は、現在、サハリン州政府に対して、調査委員会の設置 を求めている。委員会が、日本側と協力して、原因究明や対策に乗り出 すことを期待している。 ─────────────────────────────────── 3.サハリンの環境保護団体「サハリン環境ウォッチ」 ─────────────────────────────────── ●昨年11月に、サハリン島中部東岸で起きた「タンカー座礁事故」で、 数千トンの石油が流出したのが、原因ではないか。 ●現在、この件に関して、独自の調査を行っている。そのためには、知床 の死骸に付着した油と、サハリンで生産された石油の関連を調べる必要 がある。日本側と協力する道を探りたい。 ─────────────────────────────────── 4.「タンカー座礁事故」説に対して・・・ ─────────────────────────────────── ●数千トンの流出事故ならば、油が見つからないはずはない。 ●サハリンか、北海道、北方領土、オホーツク海上のどこかで、廃油や、 化学物質の不法投棄があったのではないか。 ─────────────────────────────────── 【油汚染鳥〜"日本側"の言い分】 上記、"ロシア側"の言い分に対して、死骸の回収や調査を踏まえて、現状で は、"日本側"の言い分は、どうなっているのか? ─────────────────────────────────── ■北海道に漂着する流氷は、サハリン沖で生まれて、40日前後で、知床 半島付近に、到達する。重油は、流氷と共に、流れ着いた可能性アリ。 ■鳥に付いた油は、サハリンの油田から漏れた可能性アリ。 ■パイプラインの事故の件に関しては、約十立方メートルが海に流れたと のこと。それぐらいの量で、数百羽の野鳥が死に、北海道まで流れ着く 可能性は低い。 ■海鳥の油と、サハリンの石油との比較分析を、急ぐべき。 ■洋上を航行する船舶から、油が流出した可能性も、否定出来ない。 ■海鳥の死因が分かっても、油がどこから来たか、明らかにならないと、 同じことが、また、起こる可能性アリ。 ■インターネットなどで、様々な憶測が飛び交い、観光や、漁業などに、 悪影響の及ぶことが、怖い(風評被害に対する懸念)。 ■仮に、サハリンの油だと分かっていても、現時点では、経済的なダメー ジが見えないので、損害賠償は請求出来ず、再発防止を要請するくらい しか手がない。何年も掛けて、追求するのは、現実的ではない。 ■宗谷管内から、網走管内に掛けての広い範囲で、油汚染鳥の死骸が見つ かったことから、油は、海流に乗って、北から南下して来たと推測出来 る。斜里周辺以外でも、死骸が漂着している可能性があるため、それ以 外の地域でも、調査の必要アリ。 ■今回、死骸が見つかった鳥は、一部、氷の中から、発見されており、オ ホーツク海の北部で死亡した鳥が、氷の中に閉ざされ、斜里沿岸に漂着 し、最近の暖気で、溶けて発見された可能性アリ。 ■エトロフウミスズメなど沖合に生息する鳥が、大半で、洋上で、油に汚 染されたと考えられる。オオワシの羽は、同じ場所で見つかっているの で、同一個体の可能性が高い。 ─────────────────────────────────── 日本側でも、"根深い問題"がある。 それは・・・ 横の連携がない「行政の対応」。つまり、"縦割り行政"の弊害だ。 "防災計画"によると、北海道は、「油の大量流出」だと、当然、中心となっ て、対策に当たる。しかし、今回は、大量の油が見つかっていない。だから、 北海道は、こんな大問題にも関わらず、今のところ、「環境保全の観点で調 査」というように、"傍観者"になってしまっている。 海上や、海岸に、大量の油が見つかれば、海上保安庁も担当になるが、既出 のように、第一管区海上保安本部(小樽)の航空機による調査では、海上の油 は、見つかっていないため、これも"傍観者"のままである。 現場になっている斜里町の環境保護担当者も、わずかに、5人。死骸の発見 以降、総出で走り回り、事態の把握で、精一杯。 日本は、いつでもそうだが、このような"想定外の問題"に対処する仕組みな り、方法なりが、全く確立されていない。これくらいのことが、シミュレー ション出来ないのならば、決して、行政の役割を果たしているとは言えない。 実際・・・ 行政は、散乱している死骸を、片付けようともしていない(やっているのは、 民間団体や地元のボランティア)。キツネやワシが、これらの死骸を漁り、 油も一緒に食べている。この間にも、油汚染は、野生生物に、どんどん拡が り、生態系を壊しつつある。 このままでは・・・ 折角、「世界自然遺産」にも選ばれたほどの貴重な財産を、失ってしまう。 【油汚染鳥〜"分析・調査"の進捗状況】 『"死因"の分析・調査作業』 北海道は、ウミスズメ科の海鳥の死骸9羽を、酪農学園大(江別)に送り、 「死因の特定」を依頼。 この内・・・ ─────────────────────────────────── 5羽 = 全身に、油がべっとり着いていた。脂肪の付き具合は、良好。 外見上は、健康。 病理解剖では、体内から、油と特定出来る成分は、検出されず。 ウィルスなどに、感染した形跡もナシ。 4羽 = 損傷が激しく、死因は分からず。 ─────────────────────────────────── ウミスズメ科の海鳥は、夏の繁殖期を除き、海上で、生活する。そのため、 今回の場合、「油が漂流する地点で羽を休めた」と見られている。 その結果・・・ 羽に、油が付着し、防水効果を失うと共に、体温を調節する羽と体の間の空 気の層がつぶれて、体温が一気に低下、死に繋がったと考えられている。 ─────────────────────────────────── 鳥の体温は、哺乳類より、急激な体温変化に弱い ↓ 冬のオホーツク海の低水温下では、即死状態 ↓ 集団生活をするため、大量死に結び付いた可能性が高い ─────────────────────────────────── 『"油"の分析・調査作業』 油の方は、道環境化学研究センター(札幌)で、分析作業を行っている。しか し、油は、揮発や、海水との化学反応などで変質しているため、「成分分析」 に、予想以上に、時間が掛かっている。 「油の種類」が分かれば、次は、「流出源の特定」となるはずだが、そうは 簡単に行かないらしい。 何故なら・・・ 例え、"成分"が分かっても、 ─────────────────────────────────── 国内の精油所から、膨大なサンプルを集めて、 製造元や、流通経路を調べる ↓ 国内で、流出した可能性を探る ↓ この作業だけで、1〜2年も掛かる ↓ その上、サハリンから、サンプルを取り寄せるのは、不可能に近い ↓ 国際問題に発展する可能性もあり、北海道だけでの対応は無理 ─────────────────────────────────── 「間違った情報による風評被害は、避けなければならないが、 正しい情報により、この問題の深刻さを、もっと貴方にも知ってもらいたい」 **見過ごせない・・・ http://tinyurl.com/g39za
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