毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門

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『筋弛緩剤』…聞いたことはあるけど、
実際、どんなことに使うの?



 既に、閉鎖されているクリニックの元准看護師だった男の裁判が先日行われ
た。殺人と殺人未遂罪に問われている彼が使ったとされるのが『筋弛緩剤』。


【『筋弛緩剤』とはどんなもの?】

 冒頭の男は、裁判中「絶対やっていません」と大声を出し、退廷させられた。
しかし、判決は、一審と同様に、無期懲役であった。裁判のことについては、
見守ることにし、ここでは、『筋弛緩剤』について、読み解きたい。

 先ず、『筋弛緩剤』(あるいは筋弛緩薬)とは何か?
───────────────────────────────────
  神経・細胞膜などに作用して、筋肉の動きを弱める薬。
───────────────────────────────────
 これでは、あまりにも、抽象的過ぎて、分かりませんね(^^;)。

 筋肉は、"運動神経"から、信号パルス(波動)を受け取ることによって、ピク
 ピクと、緊張を起こします。

 "運動神経"というのは、コードになっていて、その先端のプラグは「運動終
 板」という筋肉側のジャックにつながれています。

 そのつなぎの部分に、すき間があり、この間を橋渡しする物質が、神経ホル
 モンである「アセチルコリン」です。

 『筋弛緩剤』というのは、この「神経のつながり」を邪魔して、筋肉を弛緩
 させる薬剤のことです。

 邪魔の仕方には、"2種類"あります。表示:成分名「商品名」/用途
───────────────────────────────────
 1.「運動終板」を邪魔(遮断)するタイプ(非脱分極性筋弛緩剤)
───────────────────────────────────
  ●臭化ベクロニウム「マスキュラックス」

   麻酔時、気管内挿管時の筋弛緩。上記の事件で使われたとされる薬剤。

  ●臭化パンクロニウム「ミオブロック」

   手術時の筋弛緩。

  ●塩化ツボクラリン「アメリゾール」

   手術時の筋弛緩。

  ●A型ボツリヌス毒素「ボトックス」

   眼瞼ケイレン、片側顔面ケイレンなど"ジストニア"と呼ばれる病気の
   治療時の筋弛緩。

   *"ジストニア"…自分の意思に反して、筋肉の収縮や、硬直が持続した
           り、繰り返し起こる病気。原因は不明。

           上記の挙げた以外でも、突然、肩などが上がらなくな
           るゴルフの"イップス病"なども、これに入る。  
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 2.「運動終板」を興奮、混乱させてしまうタイプ(脱分極性筋弛緩剤)
───────────────────────────────────
  ■塩化スキサメトニウム「サクシン」「レラキシン」

   麻酔時の筋萎縮。気管内挿管、骨折脱臼の整復時。咽頭ケイレンの筋弛
   緩。神経科における"電撃ケイレン療法"の際の筋弛緩。腹部腫瘤診断時。

   最大の特徴は、「即効性、かつ、数分で回復する」ということ。この事
   から、ダメージを最小限に抑え、上記、"電撃ケイレン療法"には、最適
   ということになる。

   この"スキサメトニウム"が、現在、脱分極性筋弛緩剤の主流である。
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   *「サクシン」には、非常に思い出がある。今から、約20年前、私が、
    まだ、医療卸の新入社員として、働いていた頃の話である。

    その会社は"奉仕の精神"を売り物にしていて、1回2,000円ほど
    の金額で、1週間に1度くらい、宿直をしなければならなかった。

    その記念すべき第1回の宿直時、夜中の2時くらいに、突然、電話が
    鳴った。ある公立の病院から、「薬品を届けてくれ」との事であった。

    その薬品が「サクシン」。まだ、入社したばかりだったので、これが
    "何に使われる"ということまでは、分からなかった。先輩がその時、
    「緊急手術か。誰か危ない人いるのかなぁ〜」と呟いた。

    それで「サクシン」とは、緊急性があり、重要な薬なんだと知った次
    第です。また、同時に、宿直って、こんなに大変なのぉ〜と不安も感
    じた。しかし、これ以後は、ほとんど夜中の配達はなかった。

    今、「サクシン」の名前を聞くと、非常に懐かしい感情が、こみ上げ
    てくる。それと同時に、その人は、無事助かったのかと・・・。
───────────────────────────────────

 自然界にも、『筋弛緩』をもたらす薬物がある。

 例えば・・・
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 ★フグ毒である「テトロドトキシン」

 ★ボツリヌス菌の毒素である「ボツリヌストキシン」

 ★d-ツボクラリン(合成物が塩化ツボクラリン)は、「クラーレ」とも呼ば
  れる非脱分極性筋弛緩剤である。これは、最も有名な矢毒(矢に塗る毒)の
  1つで、南アメリカにおいて、狩猟・戦闘用に多用された黒褐色の樹脂状
  の毒。

  フジウツギ科、ツヅラフジ科の一部の樹皮から、採取される。

  *「クラーレ」というのは、"鳥を殺す"という意味のウーラリという現地
   語から来ている。

  *上記、3種類は、どれも「猛毒」に属し、そのまま放置すると、呼吸不
   全によって、死亡する確率が高い。
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【『筋弛緩剤』の問題点】

 前記の事件だけじゃなく、『筋弛緩剤』には、様々な問題が、山積していま
す。その一つ一つを検証しながら、列記して行きたいと思う。
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1.「安楽死」に関する問題
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 ●「安楽死」に対して、日本における次のような判例がある。
───────────────────────────────────
  [積極的"安楽死"が許容される条件]
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  1.耐え難い肉体的苦痛がある。

  2.死が避けられずに、その死期が迫っている。

  3.肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、他に代替手段ナシ

  4.生命の短縮を承諾する患者の明確な意思表示がある。
───────────────────────────────────
  ・3については、「緩和(痛みを和らげる)医療」についての知識を持ち合
   わせない医師が、非常に多い懸念がある。そのため、安易に『筋弛緩剤』
   を使用してしまうケースも考えられる。

  ・通常、安楽死が認められている国では、『筋弛緩剤』だけではなく、
   「麻酔剤」も併用して行う。もし、意識がある時に、『筋弛緩剤』だけ
   を投与してしまったら、その状態で、呼吸不全が起こるということは、
   相当の苦痛になる。

   医師が、患者に良かれと思ってやっていることが、最後に、最大の苦痛
   を与えて、死に至らせるという酷い事態になりかねない。
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  *小動物の安楽死では、よほどのことがない限り、『筋弛緩剤』は使いま
   せん。しかし、競走馬などのように大動物で、抑え付けておくことが困
   難で、周りの人が危険であったり、動物自身が怪我をする恐れのある場
   合には、『筋弛緩剤』の投与が、やむを得ないこともあります。

   ただし、経済的な理由から、『筋弛緩剤』だけの投与で、安楽死させよ
   うとする不逞な輩もいます。これだけは、絶対に、止めて下さい。折角、
   自分のために役だってくれた動物を、最後に苦しめないで下さい。こう
   いう場合も、必ず「麻酔薬」を併用すること。 
───────────────────────────────────
2.「脳死判定」に関する問題
───────────────────────────────────
  ●「麻酔薬」や『筋弛緩剤』を投与されたために、「本当は正常であるの
   に、脳死判定時には、反応が見られない患者」「低血圧のために、正常
   な反応が観察されるとは考えられない患者」などが、存在する。

   これらの患者を、「脳死判定」から除く理由は次の通りである。
───────────────────────────────────  
   1.「脳組織内薬物濃度」と「血中薬物濃度」が非常に離れている。

   2.「脳組織内薬物濃度」を測定するには、脳組織を採取するしかない。
     しかし、生きている患者対象には、出来ない。

   3.「脳組織内薬物濃度」が、どれだけ低下したら、中枢神経抑制効果
     を失うか、個人差も考慮に入れた濃度が、不明である。

   *つまり、「麻酔薬」や『筋弛緩剤』による影響が計り知れないので、
    「脳死判定」からは、除いた方が、賢明であるということ。
───────────────────────────────────
  ●現状の「脳死判定」の除外例の規定、および、運用は、あいまい過ぎる
   のである。くれぐれも、"臓器移植の症例"を多くしたいからと言って、
   「麻酔薬」や『筋弛緩剤』を乱用して、患者を"殺さない"ように…。
───────────────────────────────────
3.「盗難」に関する問題
───────────────────────────────────
  ★3月8日(水)、こういう記事が載っていた。
───────────────────────────────────
   東京都足立区にある「綾瀬循環器病院」で、今年の1月26日夜、同病
   院3階にある"救急救命室"で、「マスキュラックス」「サクシン」など、
   『筋弛緩剤』が3種類(4本)、鎮静剤「ドルミカム」、抗不安剤の計6
   本がなくなっていていることに、病院のスタッフが気が付いた。

   通常は、錠の掛かる場所(『筋弛緩剤』などは"毒物"のため、法律で義
   務付けられている)に保管されているが、この時は、使用前の準備で、
   室内に置かれていた。
───────────────────────────────────
  ●"救急救命室"のような場所では、人の出入りを、いちいち気にしている
   暇はない。そこを狙ったということは、元病院関係者か、元患者が、怪
   しいのではないかと思う。何れにしても、内部事情に詳しい者。

  ●こういう病院は、ココだけだろうか?少し不安に感じる。盗んだ薬剤を、
   "犯罪に使う"ことも、充分に、考えられる。下手をすると、殺人事件ま
   で、起こしかねない。「厳重な管理を」というのは、簡単だが、所定の
   場所から出した後の薬剤を、どう管理するのか?薬にも"ICタグ"が必
   要なのか??チョッと、妙案が浮かばない。

  ●私の昔勤めていた専門学校でも、獣医の名前で、授業で使う「麻酔薬」
   などを仕入れていたが、在庫管理が、非常にズサンだった。私が入るま
   で、チェックもされていなかった(薬も全て野放し)。

   学生が興味を示さない訳がない。おそらく、私が入る前、何本か盗まれ
   たのではないかと、推測される。この例から見ても、医療機関は、もち
   ろんのこと、純粋な医療機関じゃなくても、「麻酔薬」や『筋弛緩剤』
   などを扱っている施設の方が、もっと危険かも知れない。   
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 http://www.unlimit517.co.jp/ana26.htm
        ↑
   ここに載っている獣医だけじゃなく、

   医者も、今回挙げた『筋弛緩剤』に限らず、「麻酔薬」「鎮痛剤」
   に関する知識や、使い方は、おざなりになっています。

   非常に、重要で、生命に直結する薬剤であるにも、拘わらずに…。


   正直言って・・・「怖い現状が、そこここに、存在します」
 

     **神のみぞ知る・・・ http://tinyurl.com/q9u8r


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