毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門

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やさしく読み解く入門」


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出産を扱っている施設は全国で65%。
子供の産める環境を整えるには?



 日本の出生率=1.25(2005)。何とお隣の韓国はもっと低い。1.08。
しかし、これは比較する問題ではない。産みやすい環境を整えるのが先ず第一。


【初の"全国"調査】

 日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)は、6月14日、産科や産婦人科を掲
げる医療機関の内、実際に、出産を取り扱っているのは、約65%に当たる
3063施設で、常勤医師は、7985人とする初の全国調査の結果を発表。

他には次のような数字が・・・
───────────────────────────────────
 上記の結果は、

 厚生労働省の調査を基にした推計(5000施設以上、11000人以上)を
 大きく下回っている。過去のデータが、デタラメであったことを示す。
───────────────────────────────────
*2005年12月1日時点での調査結果(東京都の一部を除き回答アリ)
───────────────────────────────────
1.産科、産婦人科のある病院(20床以上) 4740施設
───────────────────────────────────
 この内・・・

 出産を扱っている1280病院+1783診療所=3063施設(約65%)

 残る1677施設(約35%)は、妊娠検診は行っていたが、出産は扱わず。
───────────────────────────────────
2.出産を扱う常勤医師 7985人
───────────────────────────────────
 1施設平均 2.45人、しかし、大学病院を除くと平均1.74人
───────────────────────────────────
 *大学病院を含めても、平均医師数が2人以下の所は、青森、岩手、福島、
  岐阜、滋賀、愛媛、佐賀、大分の8県。→ 産める環境が悪い
───────────────────────────────────
3.病院の約78%は、医師が4人以下
───────────────────────────────────
 *2名以下の病院が50%以上である地域は20県

  60%以上=7県(岩手、福島、新潟、石川、福井、滋賀、山口)

  最高は、福島県の71% → 産める環境が良い
───────────────────────────────────
 *1名の病院は、山形、福島、石川、高知、熊本で30%以上

  最高は石川県の40%であった。→ 産める環境が悪い
───────────────────────────────────
4.集約化の第一段階の目標である5名以上の病院は334施設(21.4%)
───────────────────────────────────
  東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の1都2府5県で、
  170施設と半数以上を占めている。
───────────────────────────────────
 *「集約化」というのは、昨年から行われている厚労省の施策で、医師不足
  の地域での産科医療の安全確保のため、医師の集約化を進める方針のこと。
───────────────────────────────────

 「集約化」というのは、厚労省としても苦肉の策だと思うが、結果として、
子供を産むためには、「都会」まで出てこなければならない環境を作ってしま
っている。


【今そこにある"危機"・・・】

 上記は、"日本産科婦人科学会"の調査である。この調査で、実に深刻な「産
婦人科医不足」進行している事が、浮き彫りにされた。特に、人口が少ない地
方・地域から、姿を消しているという現実がある。

           「それは、どうしてか?」

 大学病院では、ただでさえ少ない「産婦人科医」を中核都市に集中させてい
るからだ。まぁ、一つは、希少価値である「産婦人科医」を確保し、大学も生
き残りを賭けているという事だろう。

 もう一つは、少ない「産婦人科医」を効率良く派遣するには、分娩数が多く
施設が整った中核都市に集めざろう得ないという切実な問題もある。

 そのため、地方では当てにしていた「産婦人科医」を確保出来ないために、
これ以上『産婦人科』を続けて行けなくなっているのである。

 ところで、私も普通に「産婦人科」と言っているが・・・


【"産婦人科"の実情】

 これは皆さんもご存じと思うが、「産科」と「婦人科」が合わさって出来た
言葉である。双方に密接な繋がりがあり、切り離せないという事実からも使用
されて来たのだと思う。また、"病院経営"の面からも言えるだろう。

  『ところで、これら「産科」「婦人科」ってどんな事をしているの?』
───────────────────────────────────
「産科」…端的に言えば、"妊娠の可能性"があるのであれば「産科」を選択す
     る。具体的には[分娩][妊婦検診][人工妊娠中絶手術][産褥検診]など

     *"産褥"とは=分娩終了直後から、産道の復旧完成までの約6週間

     よく「母体保護法(旧・優生保護法)指定医」という看板を掲げてい
     る病院・医院があるが、これは、"人工妊娠中絶"を行う医師がいる
     という意味である(この看板がない場合は"もぐり"で法律違反)。
───────────────────────────────────
「婦人科」…月経やおりものの事から、セックスに関する相談、その他、妊娠、
      不妊、避妊の事など、トータルで「女性の身体に関する事」の診
      察・治療を施す。

      具体的には[月経異常][月経前症候群][おりものの異常・性感染症]
      [不妊症(産科の場合も)][子宮内膜症・子宮・卵巣の疾患(子宮筋
      腫、卵巣嚢腫など)][避妊相談、緊急避妊][がん検診(子宮がん、
      卵巣がん、乳がん)]など
───────────────────────────────────
「何故、これら人間の根幹を扱う重要な"産婦人科医"が減ってしまったのか?」

 ここで「平成14年(2002)と平成6年(1994)の厚労省による"診療
科名別にみた医療施設に従事する医師数"」という統計を比較してみたい。
───────────────────────────────────
           平成14年    平成6年
───────────────────────────────────
全国の医師数(人)  249,574  220,853 (+28,721)
───────────────────────────────────
産婦人科医数(人)   10,618   11,039    (−421)
───────────────────────────────────
全体に占める割合     4.3%     5.0%   (−0.7%)
(産婦人科医)
───────────────────────────────────

 8年間で、421人減り、全体の医師に占める割合も、0.7%も減少して
しまった。間違いなく、医学生達は"産婦人科医"を目指していない、選択して
いないという事だ。

それでは・・・

「医者の卵達に映る"産婦人科医"像、又は、

    結果として、"選択されない実像"とはどういうものなのだろうか?」


【これだから嫌われる"産婦人科医"】

 これだから、"嫌われる"という理由が確かにある。
 
問題点も含めて、以下に記したい。
───────────────────────────────────
1.病院・医院では、昼夜を問わない「分娩」を扱うために、"医師が長時間の
  拘束"を受ける。
───────────────────────────────────
2.1に関して、医師の絶対数が少ないために"勤務時間が不規則"。「当直」
  という夜勤後にも、平常の勤務を強いられるなど、いつも"過重労働体制"
  である。
───────────────────────────────────
3.予定が立たないため、"診療レベルの向上"を目指すために重要な「学会」
  の出席などは、制限されたり、無理になったりする。
───────────────────────────────────
4."過重労働"によって、必然的に「診療の質やレベル」が低下してしまう。
───────────────────────────────────
5.他の科目に比べ、「異常分娩」や「出産した胎児」の問題などに関する医
  療過誤やミスを突かれた『医療訴訟』が非常に多い。
───────────────────────────────────
6.若年層で、"産婦人科医"を選択してくれないために、「産婦人科医の高齢
  化」が加速されている。また、それらの人は、大学から独立・開業を果た
  すなどして、"派遣の対象"とはならない。
───────────────────────────────────
 こういうのが「嫌われる理由」である。現代人気質を考慮に入れると、極め
て"当たり前"の事である。ここに無理矢理「医師の倫理」などを押し付けても、
どうしようもないだろう。

「問題は、地元(田舎)で"陣痛"が起こっても、処置が出来ないという現実…」

『実際に起こっている事』を、"北海道の事例"で示してみたいと思う。


【北海道でもこれだけある・・・】

 皆さん、本音は、地元で「子供を産みたい」と願っていると思う。でも、現
実は既に「中核都市」に"産婦人科医"が集められ、そこをセンター化し、[分
娩の集中化]が行われている。

 それを更に、「より大きな中核都市」に集中しようというのである。北海道
などでは、そこに行くまでに1〜2時間掛かる事は、ごく普通の事例だ。それ
を"産婦人科医"の減少を背景として、「もうチョッと妊婦さん、我慢してくれ
!」というのが今のやり方だ。

例えば(ほんの数例)、
───────────────────────────────────
●道立・紋別病院では、旭川医大が「産婦人科医の不足」を理由に、常勤医2
 人の引き揚げを決定。7月から分娩取りやめを余儀なくさせられた。だが、
 ここでは年間約"250例"もの分娩を行っていたのである。

 もうチョッと・・・=遠軽厚生病院をセンター化、出産や手術をここに集中
           させる(しかし、紋別→遠軽まで車で45分かかる)。
───────────────────────────────────
●市立・千歳市民病院でも、一昨年まで3人いた常勤医が、現在は、非常勤が
 1人。そのしわ寄せとして、3人体制の時は、毎月約50例の分娩を行って
 いたのだが、今ではその1/5に絞っている。
───────────────────────────────────
●後志管内(小樽市も含まれる)にある余市協会病院でも、一昨年秋から、産婦
 人科医が"非常勤"となり、現在は"外来のみ"の対応。
───────────────────────────────────
○伊達赤十字病院は、すんでのところで助かる。現在の産科の派遣医が、北大
 に引き揚げてしまうため、4月から分娩の休止を予定していたが、札幌東豊
 病院から、新たに医師を派遣してもらう事になった。
───────────────────────────────────
北海道と遠く離れた「沖縄」でも次のような事例アリ
───────────────────────────────────
●名護市にある県立・北部病院の産婦人科でも、"産婦人科医"が不足し、存続
 が危ぶまれている。現在は、県立・中部病院の応援を得ているが、既に1人
 の退職が予定されている。

 中部病院も、他の県立病院への応援で業務が逼迫しているために、これ以上
 の"派遣継続は困難"になっている。今まで、北部地区の中核病院として「異
 常分娩」や「緊急手術」などが集中していた北部病院の産婦人科廃止は、地
 域医療に深刻な影響を与える(2003年度・救急受け入れが611件)。
───────────────────────────────────
 「これは決して、北海道や沖縄だけの問題ではない。全国でも・・・」
───────────────────────────────────
 大学病院から派遣を受けている病院   1,096

 2003〜4年度で"産婦人科医"が減少   173(15%)
                       ↓
 "産婦人科医"がゼロになってしまった    117(減少の中で約68%)
                       ↓
    定員が4人以下の病院        105(ゼロの中で約90%)
───────────────────────────────────

 つまり、大学病院が「小規模な病院」との提携を切ったのである。ハッキリ
言えば、『金にならない地域の病院』は切り捨てた。"産婦人科医"が不足して
しょうがないんだから、後は、「妊婦さん、勝手にしてよ」もうちょっと付け
加えれば、「嫌なら、都会に住めば」という割り切りが見て取れる。

 こんな折りに・・・


【国の"少子化対策"の中で】

 厚労省も、実は、"少子化対策"の努力をしている。
───────────────────────────────────
 ☆2005年度から始まっている「不妊治療費の助成制度」。体外受精など
  の「不妊治療」は、"医療保険の適用外"である。しかし、実際に体外受精
  1回当たりに、30〜40万円と高額の治療費が必要。

  それらを助成するために新設された。対象は、年収が650万円以下の夫
  婦。都道府県が指定する医療機関で「体外受精などの不妊治療」を受ける
  と、年間最高で10万円(何かエラく少なくないか?)を援助。
               ↓
          この安い金額のせいか、国のPR不足かは分からないが、
          「申請者」が今のところ、"すごく少ない"との事だ。
───────────────────────────────────
 ☆2006年の通常国会に提出を目指しているという。それらは、医療制度
  改革の一環として検討される「医療保険が使えない出産費用の保険適用」
  や「出産時に支払われる一時金30万円の増額」などである。
───────────────────────────────────
    「両制度とも、"少子化対策"としては、良いと思うし、必要だ」

 ただし、出口(産婦人科)のところで、『動脈硬化』を起こしているのをどう
にかしないと、女性だってとても"生む気"にはならないだろう。

《私の考える解決策("医師の倫理"とは程遠いが…)》
───────────────────────────────────
◎拘束時間を緩和するために「シフト制勤務」をしっかり守らせる。翌日に、
 勤務を無理強いしないように。
───────────────────────────────────
◎給与面において、「他の科」の医師との差別化を図る。勤務医(常勤)におい
 ては、基本給で1.5〜2倍くらいの差を付ける。
───────────────────────────────────
◎住宅手当、夜勤手当、不規則生活手当など、"福利厚生"を充実させる。
───────────────────────────────────
◎男性の"産婦人科医"は減っているが、女性は増えている。彼女らへ最大限の
 協力とサポート体制を確立させる。男性のサポートも手厚くする。
───────────────────────────────────
◎「産婦人科」を色眼鏡で見ないようにする(特に男性がスケベ心で)。
───────────────────────────────────
◎大学などの派閥で「医師を取り合う」などという愚かな事を止める。
───────────────────────────────────
◎病院・医院に頼れないのであれば、「助産師(旧・産婆さん)」を増やすのと
 同時に、その人達が使える「助産所」などの施設を増加し、拡充させる。
───────────────────────────────────
◎病院同士の「オープン・ネットワーク(開かれた連携)」による結び付きを、
 今よりもっと強める。
───────────────────────────────────
         「直ぐにでも、対策を進めないと・・・」

 
こんな言葉が、近い将来、たくさん聞かれるかもしれない。


「私、貴方が田舎の人だから結婚しない!

             だって、田舎じゃ、子供も生めないものねぇ〜」


   **こちらに進むべきか・・・→ http://tinyurl.com/hlwk7


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