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遭難事故の主原因は典型的「人災」
残暑というより、そのまま「真夏」が継続していた今日この頃。否今日は秋。 その前から、空だけは秋空だったことには気付いていた。天高く馬肥ゆる秋。 貴方は如何お過ごし?内地はまだまだ残暑厳しき折、体にお気を付け遊ばせ。 今年も、北海道内で・・・ 7、8月の「夏山」での遭難者が、36人にも達しているそうだ(8/4現在)。 道警のまとめでは、過去10年間で最多だった昨年の48人に、次ぐ人数。 2000年以降、12〜26人で推移していたが、昨年急増(トムラウシ含)。 ところが・・・ 発生件数自体は、今年15件、過去10年間(11〜20件)と、大差はない。 背景には、「50〜60代の登山ブーム」によるツアーの急増が密接に関連。 ツアー会社は営利目的。しかも、財政的余裕などナシ。当然、利益>安全。 昨年のトムラウシ山(2141m・百名山の1つ)遭難事故では・・・ ─────────────────────────────────── 2009年7月16日、トムラウシ山頂に向かう途中で、暴風雨に遭い、 当時59〜69歳のツアー客男女7人と、男性ガイド(61)が低体温症で死亡。 日程は14日から2泊3日。旭岳(百名山の1つ)からトムラウシ山を越えて、 トムラウシ温泉まで縦走。本州(東京:Aトラベル)からの中高年ツアー客 15人とガイド3人。 ─────────────────────────────────── 今年2月、日本山岳ガイド協会の事故調査特別委員会では、HP上に報告書。 http://www.unlimit517.co.jp/sangaku1.html ─────────────────────────────────── 【原因】 ─────────────────────────────────── ●ガイドの判断ミスによる「気象遭難」 ●低体温症を防ぐ措置を取らなかった。 ●ガイドは、参加者に、防寒対策や行動食の補給を するよう助言する必要があった。 ─────────────────────────────────── 【提言】 ─────────────────────────────────── ●ガイドは、どのような条件で、低体温症が起こるのかを理解する。 ●ツアー会社は、ガイド協会と協力し、ガイドを育成する。 ─────────────────────────────────── 表面上は・・・ こんな事を指摘したり、提言したりしか、出来ないんだろうな。だから、 「低体温症」についてのガイド向け講習会を開いたり、ツアー参加者に、 「防寒装備」の注意を促す、ツアー会社には「危険回避のマニュアル」を。 無駄・・・ ではないし、必要な事だと思う。だが、「根本的な事」が抜け落ちている。 私は、トムラウシ山の遭難事故が起きた時から、ずっと"それ"を思っている。 その一端が、この事故から生還した男性ガイド(39)の言動から、垣間見える。 ─────────────────────────────────── ■悪天候でのツアー続行について 「見切り発車だった」 ■男性は自身を含む3人のガイドについて 「その場限りのチームで信頼関係はなかった」 ─────────────────────────────────── *彼は、死亡したリーダーであった男性ガイド(61)の補助役として、 ツアー客の一部を連れて、下山。その途中で、自らも低体温症になり、 遭難している。 ─────────────────────────────────── ■遭難原因について 「避難小屋を出発したのが全て」 ■遭難当日の出発の判断について 「リーダーが行くと判断したら、従うしかない。決定権はなかった」 ─────────────────────────────────── [交渉人Takコメント] ─────────────────────────────────── 本当に、リーダー"だけ"の判断だったのか?この背景には「雇われている者」 の弱さを感じる。リーダーを含めて、3人のガイドを雇ったのはツアー会社。 ツアー会社からの「圧力」はなかったのか? ─────────────────────────────────── 例えば・・・ ─────────────────────────────────── 社長から「このツアーを定着させたいから、少々の悪天候でも計画を実行、 お客のニーズに、なるべく応えて欲しい。その後も君に頼むよ」 ─────────────────────────────────── などと言われたら・・・ ─────────────────────────────────── それ程、安定した職業ではない山岳ガイドとしては、無理してでも頑張ろう という気持になったとしても、おかしくない。それが冷静な判断を曇らせた としたら…。これを全否定出来るガイドは、それ程多くはないと推測する。 ─────────────────────────────────── また、お客さんであるツアー参加者から・・・ ─────────────────────────────────── 「私これで、(日本)百名山の100座目なんだよねぇ。滅多に、北海道にも 来られないし、何とかならないかしらね。目標をどうしても達成したい」 ─────────────────────────────────── ツアー会社からも、お客さんからも・・・ ─────────────────────────────────── 上記のような大きなプレッシャーを掛けられたガイドは、"逃げる術"がある だろうか?全てをガイドの責任にして良いのか?表面上だけの原因追究では、 解決出来ない大問題が"ここ"に含んでいる。 私はこの遭難事故の最大の原因が"ここ"だと思っている。 ガイドが背負う「ツアー会社とお客さんによる板挟み要求のプレッシャー」 ─────────────────────────────────── このプレッシャーが・・・ ─────────────────────────────────── ■悪天候でのツアー続行について「見切り発車だった」 ■遭難原因について「避難小屋を出発したのが全て」 ─────────────────────────────────── につながってしまう。ツアー会社のニーズと、お客さんのニーズが合致。 つまり、「続行せざろう得なかった」「出発せざろう得なかった」のである。 上記の報告書は、詳細まで記されている。 ─────────────────────────────────── ◆だが、今更、自分に不都合な証言をするか? ◆自分だけじゃなく、今更、仲間の不利を証言するか? ─────────────────────────────────── 報告書を全て鵜呑みには出来ない。 また、登山ブームの中心である50〜60代と言えば"団塊の世代"。 人一倍、「目標到達意欲」が強い年代でもある。少々の困難くらいと。 ─────────────────────────────────── ■救助要請について 「今思えば、携帯電話を取り出して、通じる場所を探せば良かった」 「引き返すチャンスも、一杯あったのに」 ─────────────────────────────────── 今年の事故からも・・・ ─────────────────────────────────── 2010年8月2日、日高山系ヌカビラ岳(1808m)で東京等からのツアー客 (札幌:Mフラワー)とガイド計12人が、疲労と川の増水で、立ち往生。 ─────────────────────────────────── ここから、重大な「法律違反」が発覚。 ─────────────────────────────────── 【入林禁止の林道のゲートを"合鍵"を使って通過していた】 ─────────────────────────────────── [実態] ─────────────────────────────────── ●北海道内の大半のゲートの合鍵が、鍵専門店等で販売されている。 ─────────────────────────────────── *件のツアー会社Mフラワーの社長は「入林禁止だとは知らなかった」 と言いながら「ゲートは札幌市内で緊急用に購入して持っていた鍵で 開けた」と説明している。 ─────────────────────────────────── 矛盾していないかい? ─────────────────────────────────── 入林禁止でゲートに鍵が掛かっている事を知っていたから、 ─────────────────────────────────── 用意したんでしょ? ─────────────────────────────────── だから、森林管理署における鍵の事前申請も「鍵があったので、申請 しなくても入れると思った」などとほざいている。矛盾だらけ。 ─────────────────────────────────── ●山岳会や鍵業界の関係者からは「合鍵は数十年前から流通していた。 森林管理局も黙認していたはずだ」。 ─────────────────────────────────── *北海道森林管理局「知らなかった」「鍵の無断複製があるとすれば、 モラルに反する行為」。数十年前から、業界では"当たり前"の行為を 知らなかった?それこそ、お役人の"職務怠慢"では。 *業界全体での「自浄努力」はなかったのか?山の男達も落ちたもんだ。 鍵業界なんて、全くの「マッチポンプ」じゃないの?呆れたね全く。 今じゃ、オークションが流行だから、素人でも簡単に売買出来るしね。 まるで、業界全体が挙って「危険な山へようこそ。後は自己責任ね」 って、誘っているようだね。ツアー会社といい、山関連の業界の人達 といい、売買する素人衆といい、金に目が眩み、自分を見失っている。 結果としては、自然の脅威によって、事故が起こっている様に見える けど、事実は「複合的な人災」によって起こっているよ、間違いなく。 自然も迷惑しているよ。「きちんとルールを守れば、俺達のせいじゃ ないって分かるのにな」って愚痴っているよ。 ─────────────────────────────────── ●登山ガイドや山菜採りをする人には、合鍵は持っているのが当たり前 ●登山等を理由に、現地の森林管理署から鍵を借りた人が、返却前に、 複製した物が流通。「山の鍵」として、1本千円から一万円。 ●鍵の型紙が、インターネット上で出回っている。薄い金属板を削れば、 誰でも合鍵は作ることが出来る。 ─────────────────────────────────── 何か・・・ 「当たり前」の事をすれば、危険が回避出来る様な気がしてきたよ、本当に。 金に目が眩んで、安全を疎かにしたり、面倒臭いから、鍵を作ったりせずに、 命あっての物種で「安全第一のツアー」、手間を惜しまず「事前の鍵申請」。 インスタントな時代だからこそ・・・ 自然と相対する場合には、普段より、一手間も二手間も掛けて、対処すべき。 「手抜きは即危険に繋がる」と肝に銘じよ。自然より、人間の不用心が恐い。 自然と接する時には「礼儀がある」と心得よ。土足で踏み躙ると脅威が迫る。
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