金は酒を飲む前に引出を

金は酒を飲む前に引出を

　雷が遠く感じる時でも、突然「停電」あるんだなぁ～。その後、豪雨と強風。

　その中で「六日目の晩餐」の買出し。阿呆だなぁ～びしょ濡れになりながら。

　もう２５年位に・・・

　確か、冬。２月頃だったと思う。熱燗の美味い時期。某友人に呼び出されて、

　殆ど、我が家状態の「ススキノ」へ。正式に言うとこの住所名は存在しない。

　只、飲み屋やら、ソープやら、色々な商売がごった煮なった雑居ビル集中地。

　飲み始めてから・・・

　雪が降り始めて来た様な気がする。取り敢えず、居酒屋へ向った。飲むのと、

　腹を満たしたい欲望に沿って。まぁ、定石通り、「取り敢えず、ビール」だ。

　空きっ腹に効くぜぇ～。後は、焼き鳥に、肉じゃがに、枝豆に、ラーサだよ。

　ラーサって何だよ・・・

　ラーサ＝ラーメンサラダの略。ラーメン入りのサラダ盛り。これがイケルヨ。
　http://www.grand1934.com/rest/bj/ramen.html

　何でも、発祥の地は「札幌グランドホテルの中」らしい。札幌では一般的だ。

　後は、適当に見繕ってと。まぁ、約２０年来の友だから、気兼ねは要らない。

　今日のメインは・・・

　日本酒。もちろん熱燗で。それ程、通じゃないから、熱燗もありで良いのだ。

　御銚子、取り敢えず、３本ほどで。今日は、何時もより何だか吸い込み良し。

　瞬く間に、８本を飲み尽くした。切りの良い所で１０本と。飲むべ、飲むべ。

　でも・・・

　日本酒は、脚に来るんだよねぇ～。勘定は何とか払って、外に出たが、千鳥。

　そして、寒い。頭は少しクールになったが脚が言う事を利かない。どうする。

　取り敢えず、何か催して来た。「お小水、お小水」と。何時物スナックビル。

　その地下一階に・・・

　トイレが存在。その頃は、男でもセカンドバッグを持つのが流行だったなぁ。

　俺も御多分に漏れず、腋に挟んでいた。その中には、サイフとウォークマン。

　家の鍵も入っていたかなぁ～車のも。そんな事は、記憶から飛んでいた最中。

　少し大きめの・・・

　朝顔に向って、気持ち良く「お小水」を掛けていた。その行為があるまでは、

　全然、心此処にあらずだった。それが、背後で、少々俺のセカンドバッグを、

　引っ張る輩がいる。段々、力が入ってくるのが分かる。けれど、不可抗力に。

　何故か・・・

　「お小水」は急に止まらないからだ。其れが終了しないと後ろには向けない。

　もし、行き成り向いてしまったら、「お小水」が飛び散り、ち○ぽが丸見え。

　そんな時に、羞恥心を感じなくても良いのに、駄目だった。終わった頃には。

　もう・・・

　俺のセカンドバッグと一緒に、背後の輩も消え失せていた。それで漸く俺も、

　酔いが醒めて来た。「拙いぞ、これは」ってな具合。だが、走る気力はない。

　歩いてトボトボと、友と共に、「ススキノ交番」に向った。余り記憶はない。

　何とか・・・

　経緯を話したと思うが、警察の方からは「発見は難しいかも知れないよ」と。

　現金はしょうがないから、せめて、「カード類」だけでもと、一縷の望みを。

　その後、件のスナックで、愚痴る愚痴る。普段は愚痴らないけどもこの時は。

　次の日は・・・

　休みだったような。それで、夢か現かの時に、警察から電話が入った記憶が。

　殆ど、条件反射的な応え。辛うじて、聞き取れたのが「セカンドバッグ」が、

　見つかった事。数町離れたビルの地下トイレから。予想通り、現金２万消滅。

　それから・・・

　輩は何を思ったのか「ウォークマン」も消滅していた。若かった輩だったか。

　一番ホッとしたのは「カード類」は全て捨てて行ってくれた事。良かったよ。

　警察曰く「カード類は足が付きやすいからね」。まぁこの位で済んで御の字。

　何故・・・

　こんな２５年も前の事を思い出したのか？次の様な犯行が東京上野を舞台に。

　泥酔した会社員が、コンビニのＡＴＭで、現金２０万円を、引き出した際に、

　中国人女性が男性にキスしながら目を塞ぎ、その隙に、中国人男性が盗んだ。

　２０１２年以降・・・

　この界隈や近隣の繁華街では、同様の被害に遭ったとの相談が、約８５０件。

　複数の中国人グループが関与し、被害額は約３億円に上ると見て、捜査中と。

　同様の被害を受けた人の多くは、飲食店で泥酔させられた後、コンビニへと。

　しかし・・・

　本人が泥酔していて、記憶していないケースが多いとの事。身に詰まされる。

　昔の俺が、上野にいたら、やられてそうな感じ。昔は、今より、制御力無し。

　飲んだくれだったよ。飲みに行かないと物足りなかった。癖になっていたよ。

　悪癖だね・・・

　でも、俺の中の「酒二箇条」有り。「楽しく飲む」「仕事の話などはしない」

　一度、仕事の同僚が「上司の悪口＆愚痴」を話し始めた途端、席立ち＆帰宅。

　捨て台詞は「そんな飲み方、酒の神様に申し訳ない」。何度もそういう事有。

　この「二箇条」からすれば・・・

　幾ら、窃盗に遭ったからとは言え、スナックで「愚痴」を零すのは条例違反。

　だが、此の時は零さずに居られなかった。こんな手口もあるんだと言い含め。

　男性はこんな手口に気を付けて。女性はトイレのフックの荷物に気を付けて。

　それでも・・・

　それから、２７年以上経過しているが、酒は飲んでいる。けれど、宅飲みで。

　安く済むし、窃盗に遭う事もないし、二箇条も守れるしね。気楽で良いよと。

　酒を飲まない人からすると、愚かな話だよね窃盗事件。でも、それ迄しても。

　飲みたいん・・・

　だよねぇ～。人生を彩るエッセンス、脱線路、そんなのがあっても良いよね。

　そんなのがあるから、頑張れる。我慢も出来る。無ければ、虚しさ募るのよ。

　根は同じだが、「ドラッグ」と違うのは、合法か違法か丈。法治国家だもの。

　但し・・・

　俺が言うのも何だが、酒は程々にね。中毒までに陥ると、人生も棒に振るよ。

　そうなったら、本末転倒。立ち上がれなくなる。せめて、自分の足で立とう。

　こんな酔客の心情を読んでの犯行は許せぬ。でも、金は酒を飲む前に引出を。