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「更生」の責任を無償でやっている
"保護司"に押し付ける気か? 犯罪に手を染めた人間を「更生」させる。それは社会的に非常に重要なこと だ。しかし、先の監禁事件で、この体制が全くおざなりであったことが露呈…。 【"保護観察制度"とは?】 小林のようなバカ野郎でも「更生させようとする公的なプログラム」を"保護 観察制度"という。この法律が制定されたのは、今から56年前、1949(昭 和24)年のことである。つい、最近までは、機能してきたと思う。 しかし、国は、この現状に甘えてきた。改善に乗り出さなかった。日本は、 何かが起こってからじゃないと動かない国だということは、「犯罪者更生プロ グラム」にも、如実に表われている。 「それじゃ、どこが問題なのさ?」 "保護観察制度"自体が、ボランティアである「保護司さん」抜きでは、成り 立たないということだ。極めて、公的な制度でありながら、実際に現場で動い ているのは、「保護司さん」ということだ。 この「保護司さん」は、全国で、48,700人いる。定員=52,500 人だから、定員に対する充足率は、92.7%である。この背景には、平均年 齢が、*"63歳"という高齢化に対する問題がある。 *60歳以上が、全体の68.7% 2004年春から、76歳以上を再任しないという"定年制"が完全実施され た後、人数の落ち込みが見られたようである。一方、これに属する役人もいな い訳ではない。「保護観察官」が、全国に、約600人ほど存在する。 だが、保護観察の対象者というのは、全国で、約70,000人程度いるか ら、「保護観察官」は、1人で、120人近くを担当することになる。これは、 物理的にも、機能的にも無理がある。必然的に「保護司さん」にお鉢が回る。 計算上、「保護司さん」は、約1.4人くらいを受け持てば良いようだが、 実際の現場では、7〜8人という大人数を受け持っている「保護司さん」もい らっしゃるようである。 「保護司さん」の任期は、2年。その間、法務省の専門職員である「保護観 察官」と連携し、刑務所の仮出所者や小林容疑者のような執行猶予中の者、少 年院の仮退院者らの相談相手となり、ケアして行くのが、主業務である。 「なら、"公的"なところの仕事は?」 ─────────────────────────────────── 「保護観察所」の業務 ─────────────────────────────────── 「保護観察所」とは…法務省の地方支分部局で、全国の地方裁判所所在地50 ヶ所にある。その他、八王子市、堺市、北九州市に支部、 27ヶ所の駐在官事務所が置かれている。 ここに、国家公務員である「保護観察官」が在任。 ─────────────────────────────────── ○真面目に、生活出来るように、「更生指導・援助」する(保護司さんと協働)。 ─────────────────────────────────── ○社会復帰した場合の「家庭環境等の調整」を行う。 ○地域で、犯罪や非行を防止するため、啓発として「犯罪予防活動」を行う。 ○"更生保護に協力"していただいている「団体の育成指導」を行う。 ─────────────────────────────────── これらを見ると、ただ単に、"定年制"の問題だけじゃなく、片手間には出来 ないハードな内容になっている。これを、「ボランティアという名の無償奉仕」 しなければならないのだ。少し退く人が、出てきてもおかしくない。 "保護観察制度"は、間違いなく「保護司さん」の献身的な動きで、成り立っ ている。そういう"親心"を、保護観察される側は、分かっているのか!! だが・・・ 「対象者の"性善説"に基づいた制度は、鬼畜・小林には通じなかった」 【"保護観察"される側の事情】 前章でチョッと書き忘れたが、"保護観察"には、4種類ある。 ─────────────────────────────────── 1.「1号観察」…少年法第24条第1項第1号の保護処分を受けた者に対す る保護観察 2.「2号観察」…少年院から仮退院を許された者に対する保護観察 3.「3号観察」…仮出獄を許された者に対する保護観察 4.「4号観察」…刑の執行を猶予され、刑法第25条の2第1項により、保 護観察に付された者に対する保護観察(鬼畜・小林はこれ) ─────────────────────────────────── *「短期保護観察」…交通事件以外の事件で、保護観察処分に付された少年の 内、非行性の進度がそれほど深くなく、短期間で、改善 更生が期待出来る者に対する保護観察 **「交通短期保護観察」…交通事件により、保護観察処分に付された少年の 内、交通関係の非行性が固定していない者に対す る保護観察 *、**=「1号観察」に含まれる。 ─────────────────────────────────── 前章の通り、 「こういう人間が、全国で、約70,000人いる。でも、その内・・・」 次が問題である。 "保護観察中"にも拘わらず、全国で「行方不明」になっているのが、執行猶 予者で、約850人、仮出所者で、約630人、総計で、約1,480人にも 上るという。 監禁致傷罪に問われている鬼畜・小林を再犯に駆り立てたのも、この「行方 不明」という状態にさせたことである。それを引き起こしたのが、実に単純な "ヒューマンエラー"からだった。 それは・・・ 青森保護観察所の職員が、小林泰剛の転居書類を、東京保護観察所にFAX した際、市外局番"03"の"0"が正常に発信されていなかったのである。普通 ならば、正しく送信されているか「番号くらい」確かめるであろう。 以前、このコラムの"ヒューマンエラー"の項でも書いたが、慎重を期する人 なら、送信後に、「電話をして確かめる」のである。実際に、それでミスを防 いでいた会社も存在した。 どこかに気の緩みがあったのか?それとも、「重要な仕事」をしているとい う自覚が足りないのか。この職員に全ての責任をかぶせる訳には、いかないが、 少しは、シャキッと仕事を遂行してもらいたいものだ。 この青森でも、執行猶予下で、保護観察中の171人の内、6人が「行方不 明」(4月末現在)になっているとのことだ。無断で、転居したケースがほとん どを占めている。 『小林容疑者の場合は、ちゃんと断りを入れているにも拘わらず、 結果として、人為的「行方不明」にしてしまった…』 「被害者が、この事実を知ったら、やり切れないと思う」 【"保護観察"の問題と対策】 ここまで取り上げてきた中でも、たくさんの問題があった。それらを、箇条 書きにし、分かりやすくした上で、あぶり出して行きたい。 ─────────────────────────────────── ●「保護観察官」の数が、少なすぎる。 ●ボランティアに頼りすぎる「保護観察制度」 ─────────────────────────────────── 現在、約600人の数を、倍くらいには、して欲しい。そのためには、国家 公務員ということに拘らず、地元で「地方・保護観察官」という形で雇った らどうか?"地域の防犯"という意味からも、地元の人間に任せた方が良い。 ─────────────────────────────────── ●「保護司」の高齢化と定年制 ─────────────────────────────────── 私の感覚では、現在の60歳は、昔(20〜30年前)の50歳代くらいの若 さである。だから、単純に、年齢だけで、"定年制"を設けずに、「やれる」 という人達には、やってもらったら、どうだろうか? これから、社会全体が、高齢化を迎える。老人だから、何もやらせないので はなく、積極的に、生き甲斐を持って、働いてもらった方が、社会のために もなる。彼らが、生きてきた経験というものは、得難いものだからだ。 ─────────────────────────────────── ●「保護観察下の人間」が行方不明 ─────────────────────────────────── 従来は、更生への悪影響を懸念して、警察に連絡するケースは少なかったそ うだ。でも、もうそうは言っておられず、各地の保護観察所は「警察に所在 調査の協力を要請」することに、決定した。 専門部会でも、「犯罪予防法更正法」と「執行猶予者保護観察法」の一本化 を視野に、保護観察制度を全面的に見直すなど、執行猶予者の保護観察を強 化していくことで、一致した。 ─────────────────────────────────── ・「定時連絡による本人確認」…必ず、毎日、決まった時間に、登録されて いる電話番号(ナンバーディスプレイで確認 )から、連絡を入れてもらう。 1回=訓告、2回=ボランティア活動参加、 3回=刑の執行(スリーノックアウト制) ・「月1回の更生実習・講習」…必ず、出席する(義務付ける)。欠席の場合 は、地域ボランティアに参加。これは、2 回の欠席で、刑の執行。 *要は、「行方不明」にならないように、本人との接触(直接、間接を含め て)回数を増やすことである。実習・講習などは、集団で行うため、本人の 人権的な問題もあるが、取り敢えずは、「行方不明」を防ぐことが肝要。 ─────────────────────────────────── 「現代では、再犯から被害者を守る。これが、"第一の目的"である」 **内部からの・・・→ http://tinyurl.com/7uvq6
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