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"混合診療"がもたらす功罪とは?
〜アメリカと比較する事により、
良さを再認識する"国民皆保険"



 現役医療関係者T氏が今週は凱旋帰国。
   
      "シカゴ・ピッツバーグ"から貴重情報を引っ提げて登場!!

【出産費用に何と100万円!】

 米国の知人がシカゴで出産したときなんだかんだと約100万かったそうで
す。あまり米国の保険システムを知らなかったためになんでも請求が来て、そ
の通り、支払ったそうで、日本との違いに愕然としたそうです。

 しかも出産した日に退院する人が多く、4日間も入院していたのは彼女とハ
インツ(ケチャップ・メーカー)の部長さんの奥様だけだったそうです。

保険に入れない人は"出産ごとき"で入院していたら生活が出来ないそうです。

【RCの医療レベルは"HIGH"】

 そのような事情の方たちをサポートするのが、RC(日本でいう赤十字病院)
なんですがそこにかかると世間体が非常に悪いというかいわゆる"低所得者層"
と見られるようで、よほどでない限り、行かないそうです。

 しかし、"RCの医療レベル"はまったく問題なく『ハイレベル』だそうです。

【"国民皆保険"のありがたみを実感】

 彼女が言ってましたよ。

「日本では、当たり前に国民が"医療保険の恩恵"を受けていてなんとも思わな
 かったけど、こちらに来て、本当に国民皆保険の素晴らしさがわかった」と。

 "現行医療制度の修復"はもちろん必要ですが、医療の質、患者負担、選択の
幅・・・本当に必然性があるのかなど問題は山積しています。

 「皆保険制度が一度崩れると、元には戻らないと思うんだけどね・・・」

【拓コメント】

 いよいよ「師走」。"混合診療"の議論も佳境を迎えてきた感があります。こ
こでちょっと角度を変え、T氏も少し触れているのですが『アメリカと日本の
医療費がどの位違うのか?』というのを、一般的な例で比較したいと思います。

         「何故、アメリカと比較?」

 下記の関連コラムをずっと読んでこられた読者の方ならお分かりだと思いま
すが、"混合診療"の行き着く先は『アメリカの医療』なのです。だから、それ
が患者さんにとって「日本の現行医療制度」に代わるくらいメリットが大きいのか?

        「どうか冷静に判断してみて下さい」


         【アメリカ(NY)】   【日本】    

[出産費用]      〜150万    30〜35万(約1/5)

[急性虫垂炎(盲腸)]  〜240万    30〜35万(約1/8)

[抜歯(1本)]      6〜7万        0.7万(約1/10)

[一般初診料]      1.5〜2万     0.3〜0.5万(約1/3)

[入院1日(一般)]    7万〜         1.5万(約1/5)


*補足説明*

1.『出産』に関する日米の違い

 {アメリカ}の場合は「国民健康保険制度」がないために、当然、個人で保険
を掛けなければならない。出産に関する国の補助制度などもないために全てが
個人負担(保険も含めて)になる。入院費も高額なため、T氏のレポート通り、
出産して直ぐに退院するケースが大半である。

 その他にアメリカでは、出産に係わる医者(この場合、産婦人科医、麻酔科医、
小児科医など)それぞれが請求してくるために、結果として、高額な医療費にな
ると考えられる。

 {日本}の場合は、妊娠や出産の費用に関しては健康保険の適用外にはなりま
すが、「出産育児一時金」やその他、各自治体による「出産補助制度」により
個人的な負担はかなり軽減される。しかも、出産後3〜7日くらいは入院可能
(それを含めて、上記の金額くらい)。

      「色々、考慮すると日米の差は金額だけじゃない」

2.『虫垂炎(盲腸)』に関する日米の違い

 {アメリカ}の場合、平均の入院日数1日(これで上記のような高額!!)。

 {日本}の場合、平均の入院日数7日(少しはゆっくり出来ます)。

 
 『出産』や『虫垂炎』その他の3項目を見ただけでも"日本の医療費"がいか
に安いかは分かっていただけると思う。しかも、アメリカではおちおちと入院
もさせてもらえず、病院を追い出される始末です。

 病院からの帰宅後は「高額請求書」の山が・・・。

 入院費があまりにも高いために、近くの格安ホテルから病院に通院している
人々も多く存在するという。"アメリカ医療"の唯一良い点というのが、1人の
患者に対する医師の数と看護師の数が日本の5倍以上という事くらいか。それ
も「高額医療費」とうらはらなのだが…。

     「これでも"アメリカ型の医療"にしたいのか???」

【厚労省"特定療養費制度"拡充案】

 私の言葉を受けるが如くに、

"混合診療"に反対している厚労省は12月8日、次のような見直し案をまとめた。

 保険診療と保険外診療の併用を例外として認めている「特定療養費制度」の
拡充案である。

1.国内未承認だが「海外で承認済みの抗がん剤」について臨床試験で安全性
  が確認されれば、新薬として承認され、保険が適用されるまでの期間、同
  制度の対象とする。

 つまり現在は"生体肝移植"などに限られている「特定療養費制度」の対象を
広げ、国内未承認の抗がん剤も対象に加えるという事である。

 臨床試験で「安全性が確認された段階で使用を認める」と共に、臨床試験の
迅速性を促す(本当に早くやってくれよ!病気は待っていないのだから!!)。

 「なんか"混合診療"についてはチンプンカンプンという方はお手数ですが、
  下の記事を読んでから、このコラムを再びご覧下さい」
 

【"混合診療"解決策は→】http://www.unlimit517.co.jp/medi94.htm

【"混合診療"シリーズ1】http://www.unlimit517.co.jp/medi83.htm

【"混合診療"シリーズ2】http://www.unlimit517.co.jp/medi96.htm


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