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本当に行き渡るには時間が必要 今回は、同郷の会社同僚が関わった件を取り上げたT氏。"インフォームド・ コンセント"という言葉は、市民権を得つつあるが、実際の現場では・・・。 【"説明責任"を果たさぬ医者】 68歳の親父さんが、「前立腺がん」と診断されて、約1年半。 年齢的にも、進行は遅く、手術をせずに、様子を見ていました。 しかし、ある日、医者(旭川市内大手病院)から「放射線治療」を行う旨の話 をされ、その説明を、親父さんが、実際に行って、聞いてみると、"専門用語の オンパレード"で、さっぱり理解出来なかったとの事でした。 結局、息子(同僚)が、改めて、一緒に聞く羽目になってしまいました。 行って見ると、出るわ出るわ"わけわからん言葉"。 「そんなの年寄りに話しても、分かる訳もない」 もっと、子供に教えるくらいに、分かりやすく話さなければ「説明と同意」 には、ならないっすよ〜(^^;) 「本当に、"インフォームド・コンセント"の意味わかってるのかねー!?」 ─────────────────────────────────── 【拓コメント】 言葉は聞いたことはあるけど、意外に知らない本来の意味。それじゃ… 「インフォームド・コンセント」の意味は? 医療行為(投薬・手術・検査など)や治験、人体実験の対象者(患者や被験者)が、 治療や実験の内容について、よく説明を受け、理解した上で(Informed)、医療 行為などの行うことに同意する(Consent)ことである。 この起源は、1946年のドイツで行われた「ニュルンベルク裁判」。ナチス の人体実験に対する厳しい反省を踏まえ、人体を用いて、試験を行う際に、遵 守すべき十項目の基本原則を定めたのが「ニュルンベルク綱領」である。 その後、この"インフォームド・コンセント"の原則を、世界医師会が1964、 81年の「ヘルシンキ宣言」に盛り込み、欧米を中心に、具体的内容が形成さ れた。 ─────────────────────────────────── そこには・・・医師を含む、医療を行う者は、患者に対して、 1.患者の病名や症状 2.治療、または、処置の内容 3.治療のリスクや起こりうる副作用 4.治療法や処置の成功率 5.治療に必要な検査の目的、および、内容 6.他に考えられる別の治療法、および、処置 7.治療を受けなかった場合に、予想される結果 などを「分かりやすい言葉」で説明しなければならない。 ─────────────────────────────────── こうした説明を、患者が、「充分に理解」し、「納得」し、「同意」して、初 めて、"インフォームド・コンセント"は成り立つ。 この条件から言うと、上記例「"専門用語のオンパレード"で、さっぱり理解出 来なかった…」というのは、全く"インフォームド・コンセント"が成立してい なかったということである。 「まさに、医者の"独りよがり""専門バカ""患者無視"=三拍子揃っている」 ただ、"インフォームド・コンセント"というのは、次の点で一筋縄では行かな い。それは、自分の生命や身体のことは、最終的には、自分で決めるという「 自己決定の原理」が導入されているからだ。 ─────────────────────────────────── [問題点として上がるのは・・・] ●1.癌は、告知するのが原則であるということ。特に、日本の場合は、長い 間、患者本人には告知せず、家族だけに本当の病名を話すという慣例が あった。 ●2.患者が、未成年で、判断能力に欠くとされる場合 ●3.患者が、意識不明で、意思が確認出来ない場合 ●4.治療を優先させなければならず、時間的余裕がない場合 [その他、"医師側が指摘する"問題点としては、] ■1.患者は、実は、治療上の危険は知りたくない。 ■2.説明しても、情報を理解出来ない患者がいる。 ■3.患者に、"自己決定権"を与えても、結局、医師の言うがままに、治療を 受けるので、説明自体が無意味である。 ■4.患者に与える情報(末期癌の告知など)によっては、患者がショックを受 けて、自殺や生きて行く気力が無くなるなど、必ずしも、良い方向に行 かない。 ■5."インフォームド・コンセント"をしていると、それに要する時間が、か かり過ぎる。 ─────────────────────────────────── ○1.これは非常に難しい問題である。不用意に「告知」してしまったため、 □4."訴訟沙汰"になったケースもある。"インフォームド・コンセント"を 拡大解釈して、家族と充分に納得行くまで話して、「告知をするかしな いかの決断」を含めて、"インフォームド・コンセント"を施して行く必 要がある。 ○2.この場合は、「親」または「それに代わる家族」が"インフォームド・コ ンセント"を受けるしかないであろう。その上で、これらの人々が、未成 年者に対して、自分が説明し、同意を得るしかないと思われる。 ○3.これも2.同様、聞くことの出来ない患者に代わり、「家族」が"インフ ォームド・コンセント"を受ける。しかし、この場合は、意識が回復し、 患者が聞ける状態になったら、もう一度、改めて、医師から"インフォー ムド・コンセント"を施すべきであろう。 ○4.この場合は、「命を救う」のが"最優先課題"なので、その後、患者が聞 ける状態になった時に、"インフォームド・コンセント"を施せばよい。 □1.治療というのは、「医師」と「患者」の共同作業である。そのために、 医師が最初から「治療上の危険は知りたくない」と決め付けることは、 説明責任を放棄していると言わざろう得ない。その「危険」を言うか言 わないかを、患者に選択させるのも、"インフォームド・コンセント"の 範疇に入ると思う。 □2.そこを、可能な限り、分かりやすく噛み砕いて、説明出来るのが、"医師 □3.の技量"である。話しで分からないのであれば、画像、ビデオ、インター □5.ネット、パネルなど視覚に訴えるチャートのようなものを作成すればよ い。工夫もしないで、こんな事を発言するのは、「自分は無能な医者」 ですと吹聴しているようなものである。 今後、診療で忙しい医者に代わり、"インフォームド・コンセント"専門 の医者、看護師、保健師などの医療スタッフを新しく作ればよい。これ により、全体の流れが、スムーズに行くようであれば、一人増員したと ころで、病院の経営には、マイナスどころか大きなプラスになるだろう。 ─────────────────────────────────── 「どちらにしても、様々な問題が山積し、"インフォームド・コンセント"が 本当の意味で、日本に根付くには、もう少し時間がかかるだろう」
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