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1.読者Nさんよりメールを頂きました。


拝啓

 いつも興味深く拝見しています。医療従事者(63歳)の1人です。大学院で
医療経済を勉強しています。

 先日、「保険医総辞退」事件の事が話題になり、「プリンシパル・エイジェ
ンシー」問題の一番ヒドイ話ということになりました。

 以下は助教授(45歳、この事件は知らなかった)への私のコメントです。
貴兄はご存じのこととは思いますが・・・。

 日医の「保険医辞退」事件は下の通りでした(33年前のことでした)。

 これ以来、日医と日歯は「中医協」や厚生行政を牛耳り、「妥結12項目を
承認」により、悪しき体質を作り上げました。

 武見太郎氏は昭和32年(1957)から25年間(1982)日医会長をつとめ、「喧
嘩太郎」の異名を持ち、吉田茂の秘蔵っ子として歴代首相と対等に渡り合い、
厚生大臣を「アゴ」で指図したそうです。困った豪傑ではあります。

 昭和46年(1971年)

・ 日医全理事会“保険医辞退”を決定(5.5)
・ 統一抗議デー 600余郡市区で “辞退届全員提出”も(5.20)
・ 保険医辞退7月1日発効へ 保険医辞退届提出率85%(6.5)
・ 妥結12項目を承認 保険医辞退体制を解除(8.5)
                          ・・・日本医師会
年表より

[追伸]

そして、武見太郎の功績?の一つに、"歯科医師"を"医師"と同列に扱わなかっ
たことがあります。

 今般の日歯の政治献金事件は、カネでしか利益誘導できないという、日医へ
のコンプレックスの現れだと思っています。

 このコンプレックスは、明治初期に作成された「医籍」に入れてもらえず、
「歯科医籍」に納まったことに発します("医歯二元論"といわれているものです)。

・ 医科大学の中に歯学部がない不思議。
・ 診療報酬が2本立てになっている不思議。
・ 組織は小さいのに、日医より政治献金の大きさの不思議。

に、少し合点がいきましたでしょうか。

  日歯の「歯科医籍」からの脱却は永遠(実現不可能?)の課題です。


【拓コメント】

 私もまだ小学生でしたので、この事件は知りませんでした。それで私なりに
「妥結12項目」を調べたのですが、次のようになっています。

 1.厚生省(当時)の医療行政に関する姿勢を正す。
 2.医療保険制度の抜本改正案を次期通常国会に提出する。
 3.医療基本法を制定する。
 4.診療報酬において、物価、人件費へのスライド制を確立する。

─────────────────────────斉藤 昇 厚相(当時)

 5.国民の連帯意識を高揚する。
 6.国民の医療は、生存期間を通して、一貫して保証する。
 7.労務管理と社会保障を分離する。
 8.各種保険の負担と給付を公平化する。
 9.低所得層の有病率は、高所得層の有病率に比べて、6対1の比率である
   ことを考慮する。
10.医療従事者の質的向上を図る。
11.大学研究費の公費をふやす。
12.保険請求事務を簡素化する。

──────────────────佐藤栄作首相(当時)+斉藤厚相(当時)

 "医歯二元論"については、また改めて、取り上げたいと思っています。

 また、余談ですが、武見太郎氏(1904-1983)は、吉田茂元首相と姻戚関係に
あり、参議院議員・武見敬三氏の父。1975年には、世界医師会会長まで勤めて
いる。


*この事件について、詳細に知りたい方は(pdfファイル形式)
                 ↓
     http://www.med.or.jp/jma/50th/pdf/50th146.pdf


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