毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門

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手術の「術」まで行かない前に
失敗してしまうヒューマン・エラー



  北海道東部のK市にある病院でその医療ミスは起きた。腎臓結石の内視鏡で結石を砕く
 手術。難易度はそれほどでもない。普通にチャックをしていれば問題の起きない手術であ
 る。

  それが何故起きてしまったのか?そのミスとは。内視鏡の管を通じて洗浄液として腎臓
 内に注入する生理食塩水の圧力が高過ぎて、注入した18Lのうち、腹腔内に3L漏れてしま
 った。この漏れた食塩水が原因となり、腹部周辺の血管を圧迫し、患者は循環不全に至り、
 遂には多臓器不全により、死んでしまったのだ。
 
  病院はミスを認めた。しかし、どの医療過誤の事件でも死んだ患者はもう帰ってこない。
 このミスは手術の技術うんぬんするずっと前の本当にお粗末で単純なミスである。何人で手
 術を行なっていたのか。手術におけるお互いの持ち場は決まっているはずである。それなら、
 チェック機能は働かないのか?

  普通ならば、チェック機能が働くはずだ。ただ、チェック機能が働かない理由の一つに日
 本の病院が抱える大きな問題がある。それは日本が医者を頂点としたピラミッド型の構造を
 有しているということ。だから、医者(特に主治医)が例えば下した判断については看護師
 や助手に入った医者などが間違いを指摘しにくいと言うことだ。

 今回のケースがこれに当てはまるかどうか分からないが死ななくて良い患者をこんなミス
 で貴重な命を奪ったことだけは疑い様のない事実であろう。

* 感情的に言ってはいけないとは思うが、私はこの病院に薬の納入をしていた業者にいた時、
  この病院の多くの医師が若くても傲岸不遜な態度であったことを思い出す。例えば、薬の
  納入時に伝票の薬品名を全て読み上げるのだが一つでも間違えると「これでもか!」とい
  ったぐらいに詰られ、蔑まれた。その時に人間性の一面を垣間見た気がした。この状態が
  今でも続いているのか分からないが、もし、そうだとしたら、非常に間違いを指摘しにく
  い環境であることは想像に難くない。


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