<福岡地検>次席検事が捜査情報漏えい 逮捕の主婦の夫に
福岡市の主婦が三角関係にあった女性を電話や電子メールで脅した容疑で逮捕された事件で、捜査報告を受けた福岡地検の山下永寿(えいじゅ)次席検事(51)が、逮捕の1カ月以上前、主婦の夫の福岡高裁判事(48)に容疑内容を漏らし、脅迫をやめさせるよう求めていたことが2日分かった。国家公務員法(守秘義務)などに抵触する可能性がある。山下次席は「脅迫をやめさせようと独断で伝えた。(捜査情報が主婦に伝わり)証拠隠滅された可能性は高い」と漏えいの事実を認めつつ「違法ではない」と弁明している。
主婦は福岡市城南区鳥飼7、古川園子容疑者(40)。1月31日、同市早良区の女性(34)への脅迫容疑で福岡・西署に逮捕され、容疑を否認している。
地検などによると、被害女性から昨年9月に相談を受けた西署は脅迫容疑で逮捕状を請求する方針で地検と協議、女性は12月27日、脅迫とストーカー規制法違反容疑で西署に告訴した。同日、地検刑事部長から報告を受けた山下次席は翌28日午前、容疑者の夫である判事を電話で地検の自室に呼び出して容疑内容を伝え、事実ならやめさせるよう警告した。その後、検事正と福岡高検次席検事に報告したが、警察に連絡したのは今年1月下旬だった。
地検は警告と同じ12月28日、西署に「ストーカー規制法に基づき、まず主婦に警告するよう」勧め、その後、脅迫容疑での強制捜査方針に戻った経緯もある。
警告直後、被害女性やその夫の会社への無言電話や脅迫メールはやみ、古川容疑者は28日、弁護士に弁護を依頼した。プリペイド式の携帯電話など5台が脅迫に使われたとみられるが、西署が1月31日、高裁官舎の自宅を家宅捜索した際には見つからず、押収できなかった。古川容疑者は「アンテナが曲がるなどしたため昨年11〜12月ごろ捨てた」と供述しており、証拠隠滅を図った疑いがある。
2日会見した山下次席は漏えいを認めたうえで「事件をつぶす気はなく(放置すると)大きな事件に発展しかねないので、ストーカー規制法に基づく警告が必要と判断した。判事と個人的なつきあいはないが、判事だから教えた。肩書で便宜を図ったと言われるなら仕方ない」と釈明した。しかし同法は、警告は警察が容疑者本人に対してすると定めている。
証拠隠滅罪は他人の刑事事件の証拠を隠したり偽造する罪で、容疑者本人による隠滅は罰せられない。
古川容疑者の逮捕容疑 伝言ダイアルで知り合い、性的会話を交えて電話交際していた男性(36)が別の女性と交際を始めたことにしっと。女性宅や携帯電話に嫌がらせの電話や電子メールを約250回繰り返し、電子メールで「死ね」「博多湾に捨ててやる」「夜中に火に包まれて一家全滅」などと脅した疑い。女性を中傷するチラシを女性の子供が通う小学校内でまいたり、夫の勤務先に嫌がらせ電話を約6700回かけた疑いも持たれている。
<毎日新聞より引用>
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